「はい皆!!ハッピーバレンタイン!」

「ありがとう

「ありがとうございますさん!」

「ありがとうございやす」

今日はバレンタイン。

朝食が済んだところでは皆にチョコを配る。

隊士達もこれだけ多いと量も大変だが好みもバラバラ。

彼等にしてみればの作ったモノなら何でも食べるのだが、やはり苦手なモノより好きなモノをおいしく食べてほしい、というのが論。

だから今回のチョコは甘すぎず苦すぎずのビターチョコレートのトリュフに、ハート型のカップに入ったホワイトと抹茶のチョコレート。

これが普通の隊士用の一人分だ。

これなら苦手な味があったとしても全部で三種類。

一つくらいは大丈夫なハズ。

 

「…あれ?」

「土方さんなら部屋だと思いますぜィ」

「!そっか、ありがと」

しかし肝心の土方が居ない。

その呟きに気付いた沖田が教え、皆に配り終えるとは居間を後にした。

 

 

「副長、どしたんですかね?」

「…ったくあのヘタレが」

「え?」

「多分まだ去年の事引きずってるんでィ」

特製チョコを食べながら、山崎と沖田がこんな会話をしていたとか。

 

 

 

去年のバレンタインに土方はから貰ったチョコにマヨネーズをかけて食べたとかで。

は怒りはしなかったが呆気にとられていて。

だからなーんとなく、土方は気まずくて朝食の後こっそり自室へ戻ったのだ。

「(…どーすりゃいいんだ)」

「土方さーん!!」

「うぉあ!!」

土方が溜め息をついた時、突然襖がスッパーンという音をたてて開いた。

もちろん、開けたのは

「ハイ、ハッピーバレンタインです」

「お、ぉぉ」

はニコ、と笑うと開けてくださいと言った。

それは他の隊士達のとは異なり、正方形の箱に可愛らしいラッピングがしてある。

内心戸惑いながらも包みを開けると。

「…コレ」

「あ!それですね、焼きチョコなんです」

そこには、箱に綺麗に並べられた一口サイズの焼きチョコ。

なのだが九個のうち五個は表面が黄色い。

そしてチョコに混ざって、ほのかにマヨネーズの芳ばしい香り。

「それ、焼きチョコの上にマヨネーズかけてもう一回焼いてみたんです」

けど少しは普通のチョコも入れてみました、と。

土方さんだけ、特別ですよ、と笑って。

 

土方はしばらくチョコを見ていたが、ふとの肩を引き寄せると自分のあぐらをかいていた膝の上に倒した。

「っえ?土方さ…」

「寝てないんだろ?…今のうちに少し寝とけ」

「…はい」

隊士達の分もそうだが土方のチョコも大分こだわっている。

昨日はあまり寝ていないという土方の読みは正しくて。

は横になると、少しうとうととしてきた。

その様子を見て、土方が愛しそうに少し微笑んだことを当然は知らないけれど。

 

 

カリ、とチョコをかじる音に顔をあげる。

「…どう、ですか?」

「…うめェ」

「…良かった」

その言葉に安心した様に笑うと、再び目を閉じた。

 

 

 

+マヨで、バレンタイン

 

 

 

 

 

END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

というわけでバレンタインフリー夢、土方さんでした。

焼きチョコにマヨかけて更に焼く、というのはやった事無いので可能かどうかは分かりませんが…(汗)

土方さんの為に頑張るヒロインが書きたかったのです。

フリー夢ですので気に入って下さった場合はご自由にお持ち帰り下さい!

ローズドロップス/秋山美雨羅  (070213)          ※配布期間は終わりました