「…今夜、一緒に寝てもいい?」

その一言に、沖田は一瞬固まった。

 

 

 

 

この世にある他の何よりも優しい、子守唄

 

が沖田の部屋を訪れたのは午前零時を回ったところ。

二人は付き合っているが、だからと言って毎晩一緒に寝るわけでもないし、愛し合うわけでもない。

後者なんて本当にたまに、だ。

翌日が非番の時とかでないと朝も早いし、屯所でするのも難しい。

それに加えて、は自分から甘えるということがあまりないのだ。

それは彼女が沖田より年上なことも、理由かもしれないけれど。

 

「どうしたんですかィ」

後ろからを抱き締めて、布団の上に座る。

寒いから、かけ布団もかぶって。

「うーん…なんとなく、眠れなくて」

背を沖田に預けて、目を閉じる。

 

こわい。

なんとなくそう思って、は沖田を訪ねたのだ。

怖いのか、恐いのか。

それは分からなかったけれど。

暗闇がこわいのか、静寂がこわいのか。

まだ見ぬ明日がこわいのか。

何が、それは分からないけれど。

なんとなく不安で。

そんな時に独りは、寂しくて。

 

「…そーですかィ」

「総悟は、どーしたの」

「俺も、眠れなくて」

もそうだが、沖田も起きていたから。

もっともは、起きているのが分かったから、戸を開けたのだけど。

「…そっか」

「おそろいですねィ」

「ふふ そうだね」

こわかったけど。

不安で心が締め付けられていたけど。

二人一緒なら、あるいは。

 

 

 

「…あ、少し眠くなってきたかも」

「…じゃぁ、このまま寝やしょうか」

 

二人一緒なら。

安心するから、大丈夫。

 

 

 

 

END…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんとなく思い付きました。

タイトルも思い付いただけなので…(汗)         (070210)