たまに、らしくもなく不安になって、というよりかは『その事実』を確かめたくて、主に問うた。私などでよろしいのですか?と。すると貴方は決まって、何を今更、と笑うのだ。
「というか私は悪魔に恋愛感情があるのがびっくりよ」
「仰る通りですが…悪魔も人間と同様子孫は残しますので」
「…それもそうね」
そう、つまり人間と同じ。愛する者同士が惹かれあって子を残す。つまり、恋愛感情も有ると言うことだ。もっともその対象が人間になるのは滅多に無い事だが。
「…今時身分違いの恋なんて流行りませんかね」
らしくもなく、ちょっと本音を言ってみたりして。
「…セバスチャン」
「はい?」
「身分もなにも、貴方人間じゃないんだから気にすることないじゃない」
「…」
「それに私は貴方が悪魔だろーと人間だろーとどちらでもいいわよ」
だって貴方はとても素敵な人で、私を好いてくれている、愛しい人に変わりは無いのだから。ね?と笑って、私の頬に触れる。それが、愛しくて。
「それに私今まだ16だけど、貴方はずっとそのままでしょう?年の差が縮まるのは嬉しいわ」
見た目だけだけど、と付け加えて。
「だからずっと側にいてね?」
「仰せのままに、様」
「オイ、――、…セバスチャン!」
「!はい」
「…珍しいな」
「すみません」
らしくない、もう何十年も前の話なのに。今の主人は、違うのに。久しぶりにあんな夢を、見たからだろうか。
「…以上です」
「分かった」
今日の予定を説明して、なんとなく、考えるより口が勝手に動いていた。
「…坊っちゃんは、何故私を″セバスチャン″と名付けて下さったのですか?」
『様、』
『んー?』
『様は何故私にセバスチャンと名付けたのですか?』
『あら、だって執事と言ったら″セバスチャン″じゃない?…気に入らなかったかしら?』
『いいえ、滅相もございません』
『セバスチャン、私永遠に二十歳でいたいわ』
『どうしてですか?』
『このまま年をとったら貴方より年寄りになっちゃう』
『大丈夫ですよ、私も一緒に年をとりましょう』
『…嫌だわ貴方がおじいちゃんになったら』
『…酷いですね』
笑いあった日々。貴方が私に年を取るなと言ったのは、永遠を誓えないと知っていたからでしょう?歯車を、止めて下さったのでしょう?私のような者の為に。
「…決まっている」
「え?」
「執事と言ったら″セバスチャン″だろう?」
…そうか、だから―そのにやりとした表情が、重なって、
「何だ今更。気に入ってなかったのか?」
「いえ滅相もございません。」
ベタですね、と言えば王道だろうと返ってくる。似ていると思った。けれど代わりなどではない。後悔もしていない。彼女は間際に次の主に使えたら自分の墓参りには来るなと言った。意思が強くて、優しい人だった。
「…どうした?」
「いいえ、何でもありません」
大丈夫、これだけは。思い出は、ここにある。
誓いの夜に消えた名前
(心は永久に貴方のものです)
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…すみませんついにやっちゃった黒執事夢!!;;
はい、ヒロインさんとシエルが付けた名前は同じだったという話です(え
あ、でもファミリーネームは別です(いらない裏設定…)
しかも微妙に死ネタ…次ははっぴーな連載をしていく予定です;;
拍手の方は明るいのでよろしかったら見てやって下さい!笑
(080210)