第十訓   「後で後悔する」って日本語的におかしいから 1

 

 

 

 

『赤コーナー! 主婦業に嫌気がさし〜結婚生活を捨て戦場に居場所を見つけた女〜 鬼子母神春菜ァァ!!』

『青コーナー!人気アイドルからスキャンダルを経て殴り屋に転身!「でも私!歌うことは止めません!!」闘う歌姫!ダイナマイトお通ぅぅぅ!!』

お通ちゃァァァん いけェェェェェ!!

 

本日行われているのは大江戸女傑選手権大会。

観客席の一番前を占めているのは寺門通親衛隊だ。

 

「付き合わせちまってすいやせん」

「ううん全然!格闘技嫌いじゃないし…あ。」

『おおーっとリング上に乱入者が!何者だァァ!?チャイナ娘どこの団体だァァ!?』

いきなりリング上に、見知った人物が現れた。

「神楽ちゃん…」

何やってんだァァ ひっこめェェ チャイナ娘ェ 目ェつぶせ目ェつぶせ!

「あれ、銀ちゃん」

会場から出ようとしていた銀時、新八と沖田、の目が合った。

 

 

 

 

 

「いやー奇遇ですねィ 今日はオフでやることねーし大好きな格闘技を見に来てたんてさァ  さんにも付き合ってもらって」

会場の外の階段で話す。

「でも銀ちゃん達も格闘技好きだったんだね」

以外だなぁ、とは思った。

お通の親衛隊が居たので新八はまぁ分かるが、銀時と神楽もついてきていたとは思わなかったのだ。

「俺ァ とくに女子格闘技が好きでしてねィ 女どもがみにくい表情でつかみ合ってるトコなんて爆笑もんでさァ」

なんちゅーサディスティックな楽しみ方してんの!?っていうかまさかさんの事もそんな目でみてねーだろーな!!」

「え?」

「何言ってんでィ。さんがみにくい表情なんてするわけねーだろィ」

以外に?まともな答えが帰ってきて新八はほっとする。

神楽が何か言い、銀時が頭を叩いたが、には聞こえなかった。

きっとこれから沖田は銀時達をある場所へ連れていくだろう。

それが、少し気掛かりだったから。

 

「それより旦那方 暇ならちょいと付き合いませんか?もっと面白ェ見せ物が見れるトコがあるんですがねィ」

「面白い見せ物?」

銀時が聞き返すと沖田は答えた。

「まァ 付いてくらァわかりまさァ」

横でが少し困った様に笑った。

 

 

 

 

 

沖田とに連れられて路地を曲がり、更に更に奥へと入っていく。

「オイオイ どこだよココ?悪の組織じゃねェのか?」

「アジトじゃねェよ旦那 裏世界の社交場でさァ」

突き当たりを曲がると、階段があった。

「…着いたわ」

の言葉に、皆も上を見上げる。

「ここでは表の連中は決して目にすることができねェ 面白ェ見せ物が行われているんでさァ」

階段を登りきると、観客の声援が聞こえてくる。

 

「こいつァ…地下闘技場?」

「「煉獄関…」」

沖田とが口を開いた。

下では丁度、試合が始まろうとしていて。

ここで行われているのは

二人の闘士が走り出す。

ガキィィィンと金属音がして。

正真正銘の

片方の闘士が血を流して倒れた。

殺し合いでさァ

『勝者鬼道丸!!』

ワッと声援が起こった。

 

「こんな事が…」

「賭け試合か…」

新八、銀時が呟いた。

「こんな時代だ 侍は稼ぎ口を探すのも容易じゃねぇ 命知らずの浪人どもが金ほしさに切り合いを演じるわけでさァ」

鬼道丸という名の鬼のお面をかぶった男への声援は、まだ止まない。

「真剣での斬り合いなんざそう拝めるもんじゃねェ そこに賭けまで絡むときちゃあ そりゃ みんな飛びつきますぜ」

「趣味のいい見せ物だな オイ」

銀時の声色が1トーン下がった気がした。

胸クソ悪いモン見せやがって 寝れなくなったらどーするつもりだ コノヤロー!

神楽が沖田につかみかかる。

「明らかに違法じゃないですか 沖田さんアンタそれでも役人ですか?それにさんまで…」

「…ごめんね 嫌なもの見せて」

…」

はまだ沖田の胸ぐらを掴んでいた神楽の手を押さえた。

「でもあたし達じゃ無理なのよ」

さんの言う通りなんでさァ」

自分達は役人だから手が出せない。

これだけの莫大な金が動いていて、幕府が絡んでいない方がおかしい。

下手に動けば真選組も潰されかねない。

 

「………言っとくがな 俺ァの頼みだらうとそーじゃなかろーと てめーらの為に働くなんざ御免だぜ」

「おかしーな アンタは俺やさんと同種だと思ってやしたぜ こいいうモンは虫唾が走るほど嫌いなタチだと…」

 

煉獄関最強の闘士鬼道丸。

まず奴をさぐれば何か出てくるかもしれない、と沖田は言った。

「オイ」

「心配いりませんよ コイツァ俺とさんの個人的な頼みで真選組は関わっちゃいねー ここの所在は俺らしか知らねーんでさァ」

「ごめんね!」

顔の前で手を合わせると、口の前で人指し指を立てる沖田。

「だからどーかこのことは 近藤さんや土方さんには内密に…」

 

 

 

 

 

 

「すいやせん」

「何で謝るの」

「だってさん、旦那に頼む事本当はあんまり賛成してなかったでしょう?」

「そんなんじゃないって!…出来れば、頼りたくなかっただけだよ」

「(…巻き込みたくない、の間違いじゃありやせんか)」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドシャと音をたてて男が倒れる。

「なかなか敵さんも尻尾を出さねーな」

倒した男共の上に座る沖田と、横にあったコンクリの塊をイス代わりにする

「ザコをやったところで何も出てこねーや」

「ね。やっぱり下っぱは大した情報持ってないのかしら」

結構な人数を相手にしたのだが、これといったモノは得られなかった。

「ですねィ…しかしちっと暴れすぎたかな」

その時二人の後ろで足音がした。

「オフの日まで仕事とはご苦労だな しかも、お前は有休使ってまで」

「「ゲッ」」

「お前らがそんなに働き者だとは知らなかったよ…」

後ろに居たのは土方で。

 

その後二人共、ものすごく怒られた。

 

 

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煉獄関編スタートです。

内容が重いので、難しいですが…  

近藤さんが居ない時がチャンスということで、総悟の非番に合わせてヒロインさんが有休使った、ということです。  (070207)