「ねー、ヅラー」
「ヅラじゃない桂だ!って、」
「ねぇヅラってば」
「だからヅラじゃない桂だ!…、好きな女にヅラと呼ばれる彼氏の気持ちが分からんのか」
「?んーだって他に呼び名無いし」
「…」
だって「桂」って呼ぶのも何だし「小太郎」ってのもなー。
誰だよソレ?みたいな。いやイメージが。
あえて別のあだ名考えるなら…他のみんなの事はちゃん付けなんだよね。
銀ちゃん、辰っちゃん、晋ちゃん…みたいな。
…え?じゃぁアレか「小太郎ちゃん」?
…長げーよ、つーかキモイ。
ちゃん付けする意味なくね?
大体名前切るトコないじゃん。
コタロウのコ取って「こーちゃん」とか?
…いやいや尚更誰ですか。
というか色々考えてみたものの昔から呼び慣れたあだ名をある日突然変えるのって難しいと思う。
うん。ごめんヅラ、あたしこれからもヅラって呼ばせてもらうわ。
「…で、何だ?」
「え?」
「え?ってから話しかけてきたのではないか!」
「…あぁ。ごめんごめん」
「…」
ヅラがヅラじゃない桂だァ!なんて二回も叫ぶから別の事考えてたよ。
「いや、シャンプー何使ってるのかなーと思って」
「…は?」
「…は?じゃなくて!だってヅラ髪すっごいキレイじゃない!女のあたしより。 だからどんなの使ってんのかなーと思って」
「…もキレイな髪してるじゃないか」
「…あたしはダメ。髪洗ったらすぐドライヤーかけないと真っ直ぐにならないし。 湿気あるとすぐごわごわになるし」
「そうか?…俺はの髪、好きだけどな」
「…恥ずかしいコト言ってんじゃないわよ」
「まぁそう言うな、」
「…ん?」
「シャンプー、買いにいくとするか」
「えーっと…何?卵、牛乳、ハム、レタス、石鹸、…シャンプー?」
随分バラエティーな買い物ねぇ。
何か食品と一緒に入れてほしくないなぁ…袋に。
とりあえず今自分の居る所から一番近いシャンプーコーナーへ。
「…あ!…あのシャンプー…。よく今も造ってるよなぁ」
節約のため、最近は皆と同じの使ってたし…。
「…一本、買って帰りますか」
(あなたと同じシャンプー。その事実がとっておきのトリートメント!)