つまらない。今の私の気持ちを一言で言い表すならこの言葉がぴったりだ。
好きだった人がいた。一目見た時からずっと好きで、告白するのも怖いくらい好きで、どうしようもなかった人。断られたらもう学校に行けなくなるんじゃないかってくらい、好きだった。でもまぁ…結果的にだ、付き合う事になった訳で。うん、つい三週間ほど前の事なんだけど。…告られて。あまりに急で信じられなくて、でも嬉しくて。最初のデートの日なんて緊張しすぎたのかお腹まで痛くなる始末。それでも、嬉しかった。なのに。なのにだ、2回程遊んでから、急に冷めてしまった。好きだった、はずなんだけど。手を繋いでもどきどきしないし、何かが違うと感じ始めていた。付き合う前の方が、好きだった。そんな、感じ。
「成程そういう訳ですか」
「…まぁ、」
そして私は今、またしても自分が分からなくなった。どうしてただ授業をサボりに屋上に来ただけなのに、偶然いあわせたあまり仲の良くもないクラスメイトにこんな話をしているんだろう。しかもよりによって、彼、六道骸なんかに。
「さんの彼氏って…確か鈴木君でしたっけ?」
「…うん」
何で知ってるのと聞いたら僕の情報網を甘く見ないで下さいと返ってきた。…いや本当私付き合ってること口の固い親友にしか言ってないのにな…。鈴木君もあんまりそういうこと軽く言わない人だし。
「彼の何処が好きだったんです?」
「…わからない」
自分が先に言ったのだけど好きだったことを過去形にされて何だか複雑な気分になった。だって私達、まだ付き合ってるのに。
「…そうですか」
「うん、結局私、あの人のどこを見ていたんだろうって」
「…」
「…」
沈黙を掻き消すように風が二人の間を通り抜けた。もう秋だ。制服だけで屋上に居るのは少々寒い。そんな私とは違って隣にいる六道君はちゃっかりジャケットのような物を這おっているものだから少々腹がたっていたのだけれど、まさか貸してくれるなんて思って無かったから差し出された時はびっくりした。
「…え、あの、」
「僕は平気ですから、どうぞ」
私はありがとうと言ってそれを受け取った。男性物のブランドなんて詳しくないけどそんな私でもこのジャケットが高価な物だと分かった。着てみると思ったより暖かくて、何の香水か分からないけど六道君のいい匂いがした。(…変態くさいな私)
「…付き合ってすぐ冷めてしまうのは相手の男がつまらない人間だからですよ」
「え?」
「あんな男やめて、僕にしませんか?」
そうして差し出された手を、なぜとってしまったんだろう。
お昼になって教室に戻って、とお弁当を食べていると六道君と鈴木君が珍しくなにやら話をしていた。…鈴木君の顔は私からは見えなかったんだけど。そのあとすぐ鈴木君からメールで別れようと来て、私は分かったと返事を送った。それからしばらくして知ったことは、実は鈴木君が他校にも彼女がいたということだった。成程、人は見掛けによらないとはこの事だ。
「…骸」
「なんですか?」
「…好きよ」
「僕もですよ」
愛の果てまで連れてって
眠り姫は王子の愛で目を醒ます
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突発骸夢でした。…タイトルとかはあんまり気にしないで下さい;;笑
そしてすみません…次はちゃんと企画夢仕上げます!!(071117)