「そーゆー訳で、私骸が死んでも後追わないから」
「…そうですか、ええ、良い答えだと思いますよ」
流石僕の恋人だ、と笑う口から赤い液体が流れる。大丈夫?なんて声かけてやらない。だってもう、分かってるし。辺りは暗くて、でも建物に囲まれた路地の地面は黒いスーツの男達が倒れていて余計暗く見えた。そして鼻をつく、血の臭い。
「でも、…一つだけ忘れていることがありますよ」
「何?」
「何故君が死のうと考えたか、の理由です」
「!」
何故か。そんなの分かってる。そして骸も、分かっていて聞いてくるんだ。だって少し笑っているもの。ねぇ?
その時の骸は骸らしくなかった。あの妙に感に触る独特の笑い方を一度もしなかった。
「…一年、前か」
いつの間にか突っ伏して寝ていたらしいテーブルから顔をあげると、まだ来ていない日付に×印のついた、カレンダーが見えた。
「…本当はね、」
あるんだ。ちゃんとした理由。私が死なないで今日まで生きてきて、そして明日からも行きていく理由。
その時静かだった部屋に、インターホンの音が響いた。
「!」
もしかしたら?もしかしたら。
「…お久しぶりです、」
理由は、貴方がまた戻ってくると信じていたから。輪廻を廻り続けるのでしょう?なら私が死んだら二度と会えないじゃないか。私にそんなこと出来ないのだから。
「…骸、」
「はい」
「…おかえり」
だから、生きる。
自殺願望症候群
貴方に出会った時からそんなこと無理だと分かっていた
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
思い付いて書いた骸夢です。
タイトル思い付いてこれは骸だな、と思いまして 笑 (070519)