少しだけ薄暗いこの部屋に強い光が差すのは一日に三回。

朝と昼と夜。

彼が二人分の食事を持って訪れる時だけだ。

 

 

 

 

「こんばんは、

「………」

 

そう言って、まるでこの世のものとは思えないほど恐ろしくて美しい笑顔を私に向ける。

そして私達は二人向かい合って食事をする。

 

 

 

 

 

「…いつになったら、出してくれるの?」

「君が出ていかないだけでしょう?」

 

いつでもかまいませんよ、と付け足して。

よく言うわ。

その目は全てを見てきたんでしょう?

なら、これが見えないはず無い。

 

 

 

 

頑丈すぎる鎖によって、私の自由などとうの昔に奪われてしまった。

なのに嫌なら出ていけばいいじゃないか、なんて。

 

 

 

「……無理よ」

 

パチン、と箸を置き彼を見る。

視線が、絡んだ。

 

「何故ですか?拘束具類も付けていないし、窓も、ドアも鍵は開いている」

 

私を最初にこの部屋に入れたのは彼だ。

彼の家の、二階の一番奥の部屋。

 

「誰がカラダの話をしたの」

「……」

「ココロのコトを、言ったのよ」

 

 

 

 

 

 

 

彼の言うとおり私は首に首輪が付いている訳でも手足に重い鉛つきの鎖を巻かれて居るわけでも無い。

だけど。

だからこそこの部屋から出られないのだ。

心が、そうさせないのだ。

 

 

 

ただの玩具なら一緒に食事しなくていいのに。

ただのセフレなら、割りきれるのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、あたしはあなたのなんですか?

 

「骸、その鎖は何?」

 

あなたがわたしをしばるソレは

わたしがあなたに感じるソレは

 

 

 

 

「…さあ?がそう思う方で、かまいませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薔薇獄乙女

これが愛か憎しみなのか 答えは必要ですか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりに骸です。

タイトルは…まぁアリプロのアレです 笑

この曲聴いた時からこれで夢書こう!と思い、骸っぽいなと思ったので…

やっとかけたのにすごいSSに・・・   (070220)