あたしはつくづく弱い人間だと思う。最低だと思う。汚いと思う。

骸さんは犬と千種とあたしを助けるために自らその躰を犠牲にしてあたし達を守ってくれたのにあたしは何も出来なくて、自分が逃げる事しか出来なくて、骸さんを、守れなくて。無力だと、思う。情けなくて仕方がない。出会ってから今までずっと安心出来る居場所を作ってくれて落ち込んだ時は暖かく励ましてくれた骸さん。(本当のあたしを受け入れてくれたのはこの人が初めてだと思う)骸さんの為なら命を賭けると誓ったのに、結局一番大変な時に命を賭けて守られたのは、どっち?一緒に逃げると足手まといだって言われた時に、意地でも残ることも出来ただろう。だから骸さんが捕まったのはあたしのせいだ。あたしに、力が無いからだ。力さえ有れば、今すぐにでもあの地獄へと戻って、忌々しいガラスで出来た水槽と機械を破壊して骸さんを助ける事も、出来るでしょう?なのに、それなのに。今一番直接骸さんの役にたっている凪ちゃんに嫉妬するなんてあたしは本当最低だ。なぜ骸さんとシンクロ出来るのがあたしじゃないの。役にたてないの。その顔であたしを見ないでその声であたしの名前を呼ばないでよ。あたしも幻覚が使えれば良かった?そうしたらー

 

 

 

 

 

 

「あ…

「あ…」

会っちゃった。今一番会いたくない人に。

別に悪い子じゃないし今骸さんにはこの子が必要なんだ。

 

 

って自分にいい聞かせないと駄目。

女の子だけど見ればやっぱり骸さん思い出しちゃうしさっきも言った通り嫉妬してしまう。何であたしじゃないの?って。一度考えるとそれは止まることを知らなくてどんどん心の奥に隠していたドロドロした汚い物が流れ出す様な感じがして胸の辺りが苦しくてそれが顔にも出ている気がしてどうすれば良いのか分からなくなったりする。

 

 

 

 

 

 

 

だから、この子は苦手。


 

 

 

 

「あの…」

「あ、あたし用有るからまた後でね!ごめん!」

 

 

最悪だ。この子は何も悪くないのにね。(悪いのは、あたしだけ)最悪最悪最悪。

 

 

 

 

 

骸さん、会いたいよ。会って謝りたい。

具現化するのは凄く力消費するから戦う時以外しないって分かってるけど。

ごめんあたし最低で嫉妬深くて汚くて最悪で…わがままなんだ、世界一。

けど、こんなあたしだけど誰にも負けないって自信有る物、一個だけあるんだよ。

骸さんを、思う気持ちだけは本物だって世界一だって胸はって言える。

骸さんの為なら何でもするよ。ホントだよ。

なのにまだあと一度だけでいいから骸さんにって、あの優しい声で、にっこり笑って名前を呼んで欲しいなんて

あたしはどこまで馬鹿で我儘なのだろう。

 

 

 

「ま、待って!」

「え?」

手を捕まれて思わず振り返る。そしたら彼女は「骸さまから…伝言」って言ったかと思うと霧に包まれて消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…消えちゃったんだよ?

なのに。

じゃぁ今あたしの腕を掴んでいるのは、

 

 

 

 

 

 

誰の、手?

 

 

「…お久しぶりです、

ああ、あたしとうとう夢?というか幻覚と幻聴までいっちゃったのかな末期だよこれだってだってむくろさんがこんなとこに い る は ず な い 。

「む…くろ、さ…」

「幻覚なんかじゃありませんよ。僕が、僕の姿で僕の声で話す時は正真正銘六道骸です」

だからホラ泣かないで安心して抱きついていいですよ、なんて言われたら骸さんだって信じるしかないじゃないか。

こんなこと言ってくれるの世界でひとりしかいないんだから。

 

「…っふ、む、骸さん…何で…?」

「君が、僕と分かれてからいつも泣きそうになってたからです」

「…っ」

「というのは嘘で、僕も限界だったんですよ?に触れられない日が続きすぎて」

そういって骸さんはいつもみたいに笑って軽い、触れるだけのキスをくれた。

そして抱き締めてあまり自分を責めないで下さいってあの暖かい声で囁いてくれて涙が止まらなくなってしまったけど

さっき泣くなと言われたばかりなので出来るだけ堪えた。


凪を通していつも君を見ていましたよ 、犬と千種の前では明るく振る舞って前と同じ様に家事も頑張ってクローム髑髏とも仲良くしようとして自分を責めて責めて部屋で一人になると必死で泣くのを堪えている君の姿、ずっと知ってましたよ。なかなか会いにこられなくてすみませんでした。


 

 

そんなの、おかしいよ。

謝らなきゃいけないのは、あたしの方なのに。

「時が来れば必ず僕はあそこから脱け出してみせます。だからそれまで、もう少しだけ頑張って下さい」

「…う゛ん…」

触れている骸さんの躰からもう時間がないことが分かった。

もう、またさよならだ。

 

 

…あたしやっぱり我儘だよ。

さっきはたった一言名前を呼んでくれればそれで良かったハズなのに今はもう足りない。

嫌だ嫌だ行かないで置いて行かないで犬と千種も骸さんに会いたがってるよあたしももっと一緒にいたいよずっとこのまま抱き締めてていて欲しい、よ

 


 

 

「…そろそろ時間です。、この子の事もよろしくお願いしますよ」

凪ちゃんが骸さんに変わった時みたいに骸さんの躰が霧にどんどん包まれていって透けていった。

 

 

 

 

嫌だ嫌だ嫌だ
 

 

 

 

 

「骸さん!」

最後に手を伸ばしたら骸さんが左手でそっと握り返してくれて、空いた右手で頭を撫でておでこにキスを落として

、…愛してます」ってあの、あたしの大好きな声でにっこり笑って言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと初めと同じであたしの目の前には凪ちゃんが…髑髏ちゃんがいて、手を握ってくれてて小さくごめんなさいって呟いた。

 

 

謝らなきゃいけないのは、あたしの方なのに。

「ごめんねごめんね髑髏ちゃ…っ、あたし…」

「…泣いても、いいよ?」

 

その言葉を聞いた瞬間我慢していたものが一気に溢れてきて、骸さんと分かれてから初めて、あたしは大声で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!骸さん!」

「今日の任務は何れすかー?」

「…、犬、うるさい…」

「何だよ柿ピテンション低ー」

「…」

「まぁまぁ喧嘩しないで。今日は例のウ゛ェルメファミリーを壊滅せよとの指令を沢田綱吉から受けました」

「!じゃあはりきっていきましょー!ほら行こ!髑髏!!」

 

 ー 

あなたが居れば、仲間が居れば、ホラもう何も怖くない

 

 

 

 

END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりの骸夢です。

タイトルは前半がセンチメンタルで後半(短い…)がラプソディーという事で…

最後は5人皆一緒でボンゴレ所属ということで・・・

ごめんなさい無理矢理です。切ない系にしようとして撃沈…(061209)