「…チッ」
「…どうしたんですか、」
5月5日。晴れ。
真選組屯所の縁側に腰をかけ、溜め息をつくと舌打ちする沖田。に、おそるおそる尋ねる山崎がいた。
ちなみに只今昼休み中。珍しく三人ともサボリではなくて。
「退…今日何の日か分かる?」
「え、えーっと…子供の日…じゃなくて副長の誕生日!?」
「そー それでさァ」
しかし山崎はそこで不思議に思った。
本当なら、はソレを嬉しそうに話すはずなのに、思いっきり疲れた顔で、しかもそこに決して土方の誕生日など祝いそうにない沖田が一緒にいる。どうして。
「何かさ、土方さんっていっつもいっつも人が作ったご飯にマヨ大量にかけるじゃない?だからちょっと腹がたって」
「…」
「だから最初っからマヨならどーよ?って訳でマヨケーキにしてやったのよ」
「…うん、」
山崎はなーんとなく展開が読めた。
ちなみにマヨケーキとは普通にスポンジを焼いて、通常生クリームが活躍するところをマヨネーズに置き換えたモノらしい。
…聞くだけで相当なのに彼女はそれを作ってみせたのだから凄いと思う。
…見た目と匂いのダブルパンチをものともしないのだから。
いつもと沖田は土方をからかう仲だから、きっと彼もその場に居たのだろう。
「どんな顔するかと思えば…」
「う、うん」
「何か気持悪いくらい機嫌良く受け取ったんだィ」
「……」
…正直、何てコメントすれば良いのか分からない。
口に出しては死んでも言えないがたったそれだけの事で落ち込む二人が山崎は少しだけ可愛く見えたりした。
真選組一のドSコンビが。
…やっぱりSは打たれ弱いのだろうか、なんて本当どうでもいい事を考えてしまう程、…下らないと思った。
「…退、今下らないと思ったでしょ」
「え!?思ってないよ!!(うそ何エスパー!?)」
「顔に書いてあるぜ山崎。…あー野郎のあの微笑が気にくわねェ」
微笑…!?と山崎は思った。
だって副長が。あの鬼の副長が。
「そーいや山崎、何か用かィ?」
「あ、そうでした!ちゃん、副長が呼んでたよ」
「え?あたし?…ったくまだ休み時間なのに…」
「マヨケーキの礼かもしれませんぜ、さん」
「…いやいやいや、無いって」
じゃぁ行ってくるね、と言い立ち上がると、は土方の部屋へと向かった。
「でもマヨケーキってコレステロール凄そうですね…」
「…心配しなくても、さんだぜィ?ちゃんとしてらー」
ずい、と沖田につき出されたマヨネーズを見る。
それはいつものと少し違う容器で。
「土方さんお気に入りのマヨと同じ会社から発売された、"健康に気を使って作られた"モンでィ」
あー気にくわねェ、と呟く沖田に「どっちが?」と心の中で呟く山崎だった。
「土方さーん?何ですかァ?」
「あァ入れ」
「はい」
言いながら襖を開けるとは部屋へと入った。
「うわ、マヨ臭っ!!何したんですか土方さん!!」
「お前がケーキ作ったんだろーが!!…っていや、違、」
「?」
「…あー、いや。その、」
「…何ですか?はっきり言って下さいって アレですか?ケーキ嬉しすぎて感激しちゃったとか」
「…」
「…??」
あれ?と、今度静かになったのは。
冗談で言っただけなのに、いつもみたいに違うと怒鳴られると思ったのに、なんでこの人何も言わないのだろうと逆に困ってしまった。
「あー、アレだ」
「…?」
「…ありがとな」
「!」
くしゃ、と頭を撫でた本人を見ると、少し赤い顔を明後日の方向に向けていた。
「…半分くらい嫌がらせなんですけど」
「…分かってんだよんなこたァ 総悟いたしな」
「!」
「俺はなァ食えば何マヨかくらい分かんだよ」
自信満々に言われても困るが、要は自分の健康を気遣ってくれた事が嬉しかったらしく。
「…オイ、何笑ってんだ」
「っ、ふふ、…ね、土方さん」
そっぽを向いたその頬にちゅ、とキスを贈れば驚いたようにこちらを向いた。
「…誕生日、おめでとう」
ハッピーバースディマヨ!!
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…まず、タイトルふざけていてごめんなさい
思い付かなくて…
何でうちの土方夢ヒロインさんは攻めっぽい(というかS)なんだろう…(汗)
きっとアレだ、土方さんが原作でM扱いされてるから…(え) (070505)