「…オイ」

「…ハイ?」

「テメーさっきから全然仕事進んでねぇじゃねーかァァァ!」

一時間ぶりにの部屋を訪れた土方の目に飛込んできたのはダルそうに壁に寄りかかっているだった。

机の上の書類は配置すら変わっておらず、仕事をしていなかったのは一目瞭然だ。

「だってやる気しないんですよ。大体何であたしがこんなですくわーくなんて…」

「オメーと総悟が壊した建物の始末書だろーがァァァ!!」

先日総悟とはまた犯人逮捕を理由にハデにやったのだった。

今までは後片付けてをしていたものの、いつまでたっても反省せずに次から次へと破壊しまくる戦い方をする二人にキレた土方が

命令として山の様な書類を持ってきたのが朝の8時。ちなみに今は午後2時だ。

しかしサボっているのは沖田も同様のようで、部屋に来るたびイライラが増しているのが分かる。

(眉間にシワ寄っちゃってるよ。誰だよそんなんさせてるの。…あァあたしか)

仕事をサボるのはいつもの事だが土方には今日のは元気が無いように見えた。

はぁ、とため息をついて部屋に入り、戸を閉める。

「何考え込んでんだ」

「…別に。って言うか煙草吸ったまま人の部屋、入んないで下さいよ」

膝を抱えて顔を埋めながら言った。

「…悪ぃな」

そう言いながらも煙草を消す事は無く変わりに窓を開けた。

 

 

                                                                                                                                                                       
ー溢れそうな涙 気付かれぬようにかくしていたのー

 

 

「…吸いすぎです。早死にしますよ」

イライラしている時は必然と煙草の量も増えるのをは知っていた。…最も今日の原因の内の一人は彼女なのだが。

「ハ、長生きしようなんざはなっから思ってねぇよ」

「太く短く、ですか」

「あぁ」

 

 

                                                                                                                   
ーもう何度もあなたのこと考えてる 何をしても手につかなくて 呼吸をするたび想ってるー

 

土方の事を好きだ、と自覚したのはつい最近で。だけどいつも土方の心にはあの人が居るのを知っているから。

何より自分があの人を裏切るなんて出来ないから。その想いはどこへもはきだせずぐるぐるとの中を回っている。

 

「でもソレって吸ってる当人より周りの人の方がヤバイじゃないですか」

「…」

「歩く毒素ですね」

「…テメェ喧嘩売ってんのか?」

あはは、と笑うものの顔はうつ向いたままで。

「いつも一緒に居るから、あたしの方が先に死んじゃうかもしれないですね」

その言葉を聞いた瞬間、ハッとしたように火を消し窓から外へ煙草を捨てた。

「わ、悪かった」

「いいんですよ?別に。…ねぇ、土方さん…」

言いかけて、止めた。

(何をしようとしてるんだ、あたしは)

「…なんでも無いです。忘れて下さい」

「ーっ!何だよ!!」

膝の前できつく結ばれていた腕を掴むとびっくりしたように顔をあげたと目があった。

「!…おま…」

「え?…」

「何「トシー?居るか?」

言いかけた時、外から近藤が土方を呼んだ。

「行って下さい」

「あ、あぁ。…けど…」

「仕事ちゃんとしますから!ほら早く!」

にっこりと笑ったつもりでもそれは痛々しく見えた。が、一人にして、と目が言っているようだった。

「…おぅ。邪魔したな」

 

 

パタンと戸が閉まり、二人が行ったのを確認するとツ、との瞳から涙が流れた。

「危ないなぁ、もう…」

 

                                                                                             
ーねぇいつかは会えなくなるの?安っぽい映画みたいに死んでしまえば泣いてくれる?なんて吐きそうだわー



 

 

「優しくなんて、しないでよ…」

しんと静まりかえった部屋にの声だけが響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきは邪魔して悪かったな」

「いや別に邪魔してねぇ」

廊下を歩きながら話す。

「…トシさ、もうちょっと素直になっても良いんじゃないのか?」

「え?」

「ミツバ殿への想いは、今でも忘れてない。けど、の事も好きだろ?」

「違っ…」

「別に二股とか言ってんじゃないぞ?過去に縛られ過ぎんのも良くないって話なだけだ」

「…俺は…」

 

酷い男だ。自分から突き放しておいて何故近付く?言ったらアイツへの裏切りになるから?幸せになって欲しいから?…失うのが怖いから?

(んで、あんな顔してたんだよ)

先程見てしまったの表情が、脳裏に焼き付いて離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

の部屋の外に座り込んで居る者がいた。

(せっかく、外に誘おうと思って来たのに)

「…俺達姉弟は、恋愛にはツイてないみたいだなァ」

あんな風に土方を思って泣くを見てしまった以上、好きだ、なんて言えなくなってしまった。

「一生、この想いは俺ん中ぐるぐる回ってんのかィ」

苦しいなぁ。

そう呟いて男−沖田は自室へ向かった。

 

 

                                              

                                              
ー飽きもせずにあなたのことを考えてるどこにいても何をしてても呼吸をするたび想ってる    ABOUT U

 

 

 

 

END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タイトルはアニメOPのPrayのCDのカップリング曲です。聞くだけで切なくて泣けます。

…妄想して(え)そんなこんなで三角関係ネタです。切なく出来なくてごめんなさい。

そして切ない系苦手な方ごめんなさい。

あ、時期的にはミツバ姉さんが生きてる時です。ミツバ姉さん編には号泣しっぱなしでした。

…コミックス派の方、ごめんなさい。何か謝ってばっかだな                            (061003)