拍手お礼五代目 夏のリボーンSS 7種 「真夏の太陽に、恋」 (2007.7.24〜2007.10.30)
〈獄寺隼人〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…あついー」
「…るせー」
「…あついよーあつい、ねぇ隼人あつ、」
「暑い暑い言うな、よけー暑く感じんだろーがよ」
「…ふぁい」
今年の夏は気温の上がり下がりが激しくて。
暑いと思ったら翌日は寒くなったりして、その分温度調節も難しい。
夏休みという事もあって二人は一緒に勉強会をしているのだが、
先日獄寺の家のエアコンが調子が悪くなってしまい…
昨日までは涼しかったため問題は無かったのに今日は猛暑で。
「あーもうダメ!暑くてやる気起きないー」
「おまえそれ5回目だぞ」
勉強始めてから、 と付け足して呆れたように溜め息をつく。
「…溜め息禁止ー!暑苦しい!」
「…」
こうなるともう怒鳴ると室温上がるだとか、しゃべると体温上がるだとか、キリがない。
「…隼人」
「…あ?」
「私暑いの嫌いだけど、二人の方が部屋暑く感じると思うけど、」
「…」
「…隼人の事、好きだから帰らないからね」
「!…っ、」
顔赤いよーと言えばうるせーと返ってくる。
お決まりの台詞。
「…あーもうおまえちょっと黙ってろ」
だからそう言ってその口を塞いでみた。
(真夏の太陽に、恋/そのキスはさっき飲んだコーラの味がした)
〈山本武〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夏は暑いし色々面倒だ。
学校エアコン無いから汗かくし、すぐ化粧くずれるし、通学だって憂鬱。
けど、彼が一番輝く季節だから、私は夏が嫌いになれない。
「ナイス山本ー!!」
「あざーっす!」
夏の大会に向けて頑張る運動部の中でも一番野球部が、いや武が頑張っていると思う。
私は。
だからそんな彼を見るために夏休みにも関わらず朝早起きして制服を着て、
委員会やら部活(ちなみに私は吹奏楽部。これでもフルートが吹ける)やら、
残念ながら2つとも無い日に補習でも有ればそれを理由に、殆んど毎日学校に来てる。
…たまにある野球部の休みは、私も来ないけど。
友達の弟も野球部だから、定休日情報は完璧だ。
そうして、校舎の中から校庭を眺めて。
委員会なら廊下に出て。
部活なら個人練習はフルートそっちのけで、全員合わせ練習なら休息時間に。
補習なら勉強せずに。
飽きもせずに、練習を眺めている。
「あ、」
カキーンと良い音が響いて、武が打った。
…あれくらい跳べば、ホームラン間違いないな、ぁ。
「!」
今日は補習で3階だったから、校舎に向かって走ってくる武と、目が合った。
いつもみたいにニカッて笑って、…。
『今日も一緒に帰ろうな!』
って、口パクで言ってきた。
『うん!』
だから私も笑って返す。
そしたら武は「よっしゃ!」って、今度は口に出して戻っていった。
私は思わず笑ってしまう。
その小さな武の独り言を聞き逃さなかった自分に。
(真夏の太陽に、恋/私も小さく好きだよ、って言ったんだけど、聞こえてないんだろうな)
〈雲雀恭弥〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あー応接室って涼しい…」
応接室。
唯一この学校でエアコンのある場所。
…違った、生徒が出入り出来る部屋で唯一エアコンのある場所。
…まぁ普通は生徒が入るトコじゃないし、実際入れる人も少ないんだけど。
風紀委員と、その委員長である恭弥と話せる私くらいかな。
…まぁぶっちゃけ、付き合ってるんですが。
まだ恭弥は帰ってこなくて、他の風紀委員さんも見回りやら何やらしに行ってるからこの快適な部屋には私一人だけで。
ソファーに寝転がって目を閉じる。
昨日までテスト期間であまり寝ていなかったからか、物凄く瞼が重くて。
少しくらい、恭弥が帰ってくるまでならいいよね、と思って私は睡魔に負けようと思った。
「…あ、れ、?」
「…起きた?」
どれくらい寝たのかと考えても頭が回らない。
けど、何やら毛布らしいものがかけてあるのは気付いた。
「夏だからってこんな冷房の中寝てたら風邪ひくよ」
「…ありがと」
そっか。恭弥がかけてくれたのか。
「…恭弥ぁ」
「…何?」
「私、応接室が涼しいから来てるんじゃないからね」
「…」
「恭弥が好きだから、来てるんだよ」
「…しってるよ」
(真夏の太陽に、恋/けれどその口元は確かに笑っていた)
〈バジル〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「綺麗だね」
「はい、とても」
周りを見渡せば賑やかな夜店、人、ちょうちん。
空を見上げれば、綺麗に咲いて散る花火。
そう。今日は毎年恒例の並盛で行われるお祭りで。
毎年暇なら友達と遊びに行ったりするものの、所詮は地元の祭、何十年と見ていれば飽きるけど。
けど、バジルが日本のお祭りに行ったことが無いって言うから、一緒に来てみたりして。
ツナのお母さんが用意してくれた浴衣を着たバジルは、もう美人さんで(いや元々だけどね!)
そこら辺の女の子より全然可愛いと思う。
私的に。
もちろん私なんかより。
なのに、
「…その浴衣、お主に良く似合っています」
なんて真面目な顔して言うものだから私は
「…ありがと」
と返す事しか出来なくて。
「って、ちょ!?」
「はぐれたら大変ですよ?」
そう言って戸惑うことなく私の手を引いて歩き出すバジルに、
どうしたらいいか分からない。
そうして連れてこられたのは人もまばらな小さな丘で。
神社の裏にある空き地だ。
「沢田殿に教えて頂いたんですよ」
確かにここならゆっくり花火が見れる。
「そっか、」
「…――ですよ、」
「え?何聞こえな、」
「―――です…、――――が」
その時一番大きい花火が咲いて、その音でバジルが何を言ったのか分からなかった、けど。
「…花火も終わりましたし、そろそろ帰りましょうか?」
「…うん」
繋いだままの手が妙に、熱かった。
(真夏の太陽に、恋/「好きですよ、お主の事が」なんて私の思い違いに決まってる)
〈ディーノ〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…という訳で、やってみたわけよ」
「…いや分かんねぇよ」
仕事から帰って、まっすぐ彼女の部屋に向かうとそいつは自室にある足付きバスに水を溜めて
水着で優雅にくつろいでいた。アレ?
「お仕事頑張ってね私待ってるからダーリンv」って言ってたくせに(いやダーリンvは言ってねぇけど…)。
いや別に待ってた訳だからその間に風呂に入ろうがプールに入ろうが寝ようが彼女の勝手なんだけど。
…あ、プール?
「だってこのアジトプール無いじゃない」
「…普通無いだろ?」
「あら、この間仕事してきたローザファミリーには有ったわよ?」
…ローザファミリーってアレじゃねぇか。
小さい街を、でもしっかりと衛っている、女だけのファミリー。
アジトもホテル並に豪華だって話だ。
…ってそれはどうでもよくて。
「だって何なの今年のイタリアは。猛暑よ猛暑!
でもエアコン使いすぎると電気代も馬鹿にならないでしょう?」
確かにそうだけどよ…俺はその猛暑の中仕事してきたんだぜ?
ってそうじゃなくて。
…ぶっちゃけ、目の毒なんだよ、な。
だっていつも仕事の為結ってる髪はおろされていて半分濡れてウェーブがかってるし、
くちびるだって濡れて光ってるし…って何考えてんだよ俺!!
「はい」
「…は?」
「遠慮せずにディーノもいらっしゃーい!」
「うわ!」
そう言ったかと思うと突然腕を引っ張られプール、もといバスタブに落ちた。
「っちょ、」
「気持ちいでしょ?」
うん。冷たくて気持ちいけど、よ。
2人入るには狭くて。
体勢が…ヤバ、
「…服脱がしてあげましょうか?ボス?」
こいつわざとだ…と思った時にはもう口付けを交していた。
(真夏の太陽に、恋/だってそんなの反則だ)
〈六道骸〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あの、何で肝試しなんですか?」
「決まっているじゃないですかハニー!
部屋デート、部活ラウ゛、委員会、お祭、プールエロと来たら肝試しでしょう!?」
「いやあの、それ骸さんの偏見じゃ…」
「ネタが無いんですよ!!…じゃなかった、やっぱり夏と言ったら肝試しです!」
「…」
「暗い墓地やら神社やらを男女で歩く!
どさくさに紛れて『きゃぁ!(ぎゅぅぅぅぅぅ』『!(どっきん☆)』
みたいな感じになる素晴らしい日本の伝統じゃないですかハニー!」
「いやだから何で私と骸さんなんですか?」
「…何を言い出すんですかハニー!!僕と貴女以外に誰がいると…!!」
「いやだから犬とか千種…ってかそのハニーっての止めてくれません?
いくら拍手夢で名前変換出来ないからってハニーって呼ぶの止めてくれません?」
「あ、間違えました。じゃぁ僕の愛しいハニーならいいですか?」
「だからハニーから離れろ!!てか何故に英語!?フツーイタリア語じゃ!?」
「…これ俺達いつ出ていけばいいびょん?」
「出ていかない方がいいでしょ。邪魔したら殺されるよ」
「…(骸さまが、おどかし係やれって言ったのにな…)」
「じゃぁ俺らもう帰っていいんじゃね?柿ピ」
「…そうだね」
「(…何かオチとか無いけど…いいのかな)」
犬、千種、髑髏が見守る中言い合いをしていた2人ですが…
まぁ明日には帰ってくるでしょう。
「ちょ、ここ神社ですよ骸さん!バチ当たりますよ!!」
「大丈夫ですよハニー!僕は神なんて信じてませんから!」
「そーゆー問題じゃない!!」
とりあえず、THE 暗転☆
(真夏の太陽に、恋/夏の月は人を狂わせるから)
〈S.スクアーロ〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「スクアーロー!ってあら…」
ちょっと用があってスクアーロを探していたんだけど、
見つけた彼は珍しくソファで寝ていた。
いやスクアーロも人間だし、寝るとは思うけどさ、
こう…人の前で、というか自室以外で結構大声出しても起きない位熟睡してるのは珍しいと思う。
…明日雨かな。
普段中々じっくり見れない寝顔を屈んでまじまじと見てみた。
うわこいつ睫毛長っ!
肌も女の子みたいに綺麗だし色白いし。
腹立つ顔してるわね。
折角だから何かしとこうかな、と思って私は立ち上がった。
「あれ?何してんの?」
「あ、ベル!」
私が未だ寝たままのスクアーロの後ろに立って作業を進めていると通りかかったベルが声をかけてきた。
「えーっと、おだんご?」
「何それ超ウケんだけど!どしたの、」
「いやあんまり気持ち良さそうに寝てるから腹立って。
ついでに髪もうっとーしいから悪戯?」
「うしし!なぁ写メ撮っていい?」
「いーよー!あ、後で私にも送って」
その後目を覚ましたスクアーロが笑い死にしている2人を追い掛け、
ボスに見付かって被害者なのに殴られるのはもう少し後の話。
(真夏の太陽に、恋/「てめぇ夜覚えてろよぉ」が捨て台詞でした)
はい、2回めのリボーンお礼夢でした。
何かこれに変更した日にありえないくらいの方が読んで下さったみたいで…サイト始めて以来一番拍手の多い日になりました!笑
ありがたいことですvvありがとうございました!!