拍手お礼四代目 春の銀魂SS 4種 「桜色、ハーモニー」(2007.3.5〜2007.7.24)
<銀時>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はらはら、舞い散る、花。
「ぎーんちゃんッ!」
「! おー」
銀ちゃんは暇さえあればふらふら何処かへ行ってしまう。
それでたまにご飯の時間になっても帰ってこなくて、
ヅラに言われて探しに来るのが私の役目というか…
いや、好きでやってるんだけど、とにかくそんな感じだ。
「銀ちゃん桜好きだよね」
「…まぁな」
いつもふらふら何処かへ行ってしまう銀ちゃんだけど、
この季節は大抵桜の木の下で寝てる。
それは一際目立つ丘の上にある一番大きくて立派な桜で。
私は役目もそっちのけで隣に腰を下ろした。
寝転がると凄い。
視界一杯、全部かピンクの花びら。
吸い込まれそうな、桜色。
「ねー銀ちゃん」
「んー?」
「私、戦が終わっても、また銀ちゃん一緒に桜、見たいな」
「…ああ 見れるって」
「うん」
けど世界中何処を探したってこんなに立派な桜は、無いんだろうな。
それが少し寂しいけれど。
「…(夢、か?)」
「あ、銀ちゃん起きた?」
「?ああ、」
ああそうか、俺ー。
「もー 銀ちゃんが期間限定のさくらパフェ食べに行こうって言うから、せっかく来たのに」
「悪ィ悪ィ…行くか」
「うん」
(桜色、ハーモニー/共に桜を見るのは二の次、隣にお前がいればそれだけで)
<総悟>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「春ですねー沖田サン」
「春ですねィ」
「春って何かやる気出ませんよね」
「出ませんねィ」
本当春ってヤツはぽかぽかして思わず縁側や河原で昼寝したい衝動にかられるから困る。(土方さんが)
けど実際そんなことしたら誰かさんが煩いし、
一緒に昼寝するのも捨てがたいけど折角総悟が一緒にいるんだから。
「…空が青いね」
「半分はピンクですがねィ」
お気に入りの甘味処で、二人並んで腰掛けて。
さくら団子と桜餅。
私は道明寺も好きだけど。
「美味しいねー」
「やっぱココのが一番でさァ」
何気無い会話、些細な事で笑い。
今日も平和、平和、日常。
「総悟」
「んー?」
「…すき」
「…知ってる」
そしてまた些細なことで、笑う。
(桜色、ハーモニー/春に桜が咲くように、この関係も当たり前に続けばいい)
<土方>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「桜って、おいしいと思いません?」
「…は?」
いや別に美味しい、って言ったんじゃ無いんですよ。
おいしい、って、得だって言っただけで。
「だってまず花が咲くじゃないですか」
「ああ」
「で、散る。」
「…」
「普通のモノなら散って終りなのに、その後さくらんぼ、っていう可愛らしい実をつけるじゃないですか」
例えば花火。
人生を花火に例える事も出来るけど、綺麗に咲くのは一瞬だけで、後は儚く消える。
でも桜は違う。
散った後にも、残ってる。
「私ね、たまに桜になりたいなーとか思うんです」
散る時だって、独りじゃない。
「…あんまそういう事言うな」
土方さんの手が、私の頭に乗ったかと思うとわしゃわしゃと撫で?られた。
…セットくずれる
…まぁいいか。
「そしたら土方さん幹というか木というか、まぁそれらになってくれますか?」
「…お前が桜の花になるってならな…ただし」
「?」
「花でも実でも、離してやんねェ」
「!…ぷ、土方さん、その台詞…クサイっていうか微妙っていうか」
「…るせェ」
(桜色、ハーモニー/散らせはしない、全てが枯れるまで、運命共同体)
<高杉>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ん…」
頬を撫でたくすぐったさに目が覚めた。
「…」
ゆっくり起き上がると格子の隙間から入り込んだのか、
一面とまではいかないが辺りが桜の花びらだらけだった。
中には花ごと風に運ばれたらしいモノまで。
隣にいる男を見れば、まだ寝ている。
「…晋助、朝」
とりあえず肩を揺すってみるが、…まぁこの程度じゃ起きないよな、この人じゃ。
「晋助ー??起きないと…何しようかな」
試しにほっぺをつねろうかと手を伸ばすと案の定すんでのところで手を捕まれた。
別に予想できなかった事でも無いから驚かない。
「…」
「何、まだ寝てんの」
「…あァ」
晋助はまだ焦点があってなかったけど、
すぐ横に転がっていた桜の花を一つ手にとると、私の頭にさしてきた。
髪飾りみたい。
「…?なに、」
「……」
その瞳に流されて顔を近付けると背中に腕がまわった。
そのまま目を閉じると再び睡魔が襲ってきて、二人揃って眠りに落ちた。
(桜色、ハーモニー/幻想みたいな世界だが、俺達は確に存在している)
何か今までの拍手お礼の中で一番1つ1つが短かったと思うのですが…
沢山の人に読んで頂いたようで…^^
ありがとうございました!