拍手お礼三代目 冬のDOLLSSS 4種 「寒い冬の過ごし方」(2006.12.9〜2007.3.5)
<清寿>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
寒い寒い寒い。
とにかく、寒い。
清寿、まだ、かなぁ?
冬の空は昼間でも晴れていてもなんとなく薄暗くて、寂しい。
せっかくセットした髪も綺麗に巻いたマフラーも風がふけばあっという間に乱れてしまって嫌だ。
寂しいさみしいサミシイ。
「ごめん!待たせちゃって!」
事故で電車止まっちゃって…ごめんね、大丈夫?
って、走ってきてくれたせいか頬をまっかに染めた清寿が息を切らせながらそう言った。
あ、今清寿暖かそう。
「大丈夫だよ!それより走って来てくれてありがとう」
そう言ったら清寿も安心した様でありがとう、って笑って言った。
清寿の笑った顔、好き。
清寿が隣にいてくれるだけで、しあわせだよ。
でもちょっとだけ、たまにはワガママ言ってもいい?
「清寿ー」
「んー?」
「手、繋ぎたい」
「!…うん」
言ったら清寿は一瞬驚いた顔をしたけどすぐにあたしの手をとってくれた。
あ、しまったあたし今手冷たいんだった。
だけどそんな事気にせずにさっきより強く手を握り締めてくれる、清寿が好き。
大好きだよ。
でもごめんね?
あたしこー見えて欲張りなのよ。
ねぇ、もーひとつだけ、良いですか?
「清寿ー」
「んー?なぁに?」
「…ちゅーしたい」
「!…うん、いいよ?」
言ったらやっぱり驚いていたけどすぐにいつもみたいに綺麗に笑ってキスをくれる清寿が、大好きだよ?
…ううん、愛してる。
(ああほら、いつの間にか寒いのなんて何処かへとんでいってしまったもの!)
(寒い冬の過ごし方/手と唇。次はどこを暖めて欲しい?)
<笑太>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さーむーいー」
「…で?俺にどーしろと?」
あたしの彼氏は世界で一番カッコ良くて強くて優しいんだけど…優しいハズなんだけど!!
たまーに意地悪なのです。
ほら今も俺の何処が意地悪だって?って言ってあたしの頬をつねってるくらいなんだから!
っていうか痛い!
「いひゃいいひゃいひゃなしてほひょーひゃん!(痛い痛い離してよ笑ちゃん!)」
「何言ってんのかわかんねーよ!」
別にね?
今日夜こんなに冷えると思わなかったからフツーのジャケット着てきただけのあたしが悪いんだけどね!
笑ちゃんは悪くないんだけどね!
でもやっぱ一緒に寒っい帰り道歩いてて彼女が薄着で彼氏が結構な厚着ってやっぱちょっとアレじゃないか!
「さーむーいー!笑ちゃんさーむーいぃー!!」
いや別にね?笑ちゃんだし手繋いでくれるとか抱き締めて暖めてくれるとか絶対無いと思うんだけどさ
(だって道だしね!璃宮なら平気でしそうだけど笑ちゃんだしね!つーかあたしが好きなのは笑ちゃんだけ
だから他の人とか関係無いんだけどね!)まだ駅まで15分はある。
まぁ、いいけど!
寒いものは寒い。
あたしがあんまりギャーギャー言ってたら突然笑ちゃんが
「あーもう分かったつーの!」
と大声をあげたから少々びっくりした。
「え?」
「こーすりゃいいだろ!」
そう言って笑ちゃんはあたしの首にマフラーを巻いてくれた。…半分、だけ。
「俺だって寒ぃんだよ!だから半分ずつな」
「…っぷっ!」
「テメッ、笑ってんじゃねーよ」
ぁぁもう本当に!
「ごめんごめんありがと!…笑ちゃん、」
「あ?」
「…だいすきだよ」
(バーカって言って頭を撫でてくれる君がだいすきだ!)
(寒い冬の過ごし方/いつもと違うあなたの顔が見れただけで幸せ)
<上條>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クリスマスだろうがお正月だろうが関係なく仕事は有る。
だからたまの休みは部屋でのんびりするのが習慣になっていて。
本当にたまーに、デートしたりもするけど。
璃宮さえ居てくれれば、何だっていいのだ。
「ねぇ、璃宮ー」
「何です?」
「不幸、って何だと思う?」
「…は?」
まぁね、普通こんな事いきなり言われてサラッと答えられる方が怖いけど。
てゆうかあたしも何聞いてんの?って感じだけど。
今まで自分の読んでいた本を閉じて、璃宮はあたしの肩に顎を乗せて、雑誌をのぞきこむ。
あ、璃宮の控え目な香水?かな、いい匂いする。
その雑誌には、不幸って何だと思いますか?みたいな街頭インタビューの集計結果が載っていて、
お金が無いとか、愛が無いとか割りと軽いものから身内を失ったとか、殺されたとか重いものまで
様々だった。
「へぇ…」
「あたしはさ、幸せに気付けない人だと思うの」
「そう思うなら、それが答えなんじゃないですか?」
「…璃宮は?」
「幸せじゃない時」
…璃宮はこの記事にあまり興味が無かったか様で、そっけなく返事をした後体ごと向きを変えて
あたしを後ろから抱き締めた。
「じゃぁ、幸せって何?」
「…人に聞くときはまず自分から、でしょう?」
わざと意地悪く言うんだ。この人。
でも、すきだよ。
「好きな人…璃宮と一緒に居るとき、かな?」
「…それは僕も共感ですね」
(え!何それちょっと嬉しいんだけど!)
(寒い冬の過ごし方/返ってきた返事は愛の言葉!)
<羽沙希>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋に入った時、あまりの寒さに震え上がった。
本当に、こんな部屋で人が眠っているのだろうかと疑うほど。
悪い事をしていると思いつつも気配を消して台所へ向かう。
その前に暖房を付けようとエアコンのリモコンを探しスイッチを押した。
…ところ。
「…何してるんですか」
「うぉわ?!」
いつの間に起きたのか羽沙希があたしの後ろに立っていて。
「けっ、気配消して来ないで…!」
「すみません…でも気配消して人の家で何してるんですか」
…。
ごもっともデス。
「ご、ごめん…朝御飯、作りにきたんだけど…。迷惑だった?」
「…いえ。別に。…どうやって家知ったんですか?」
「え?あぁ清寿に教えてもらっちゃったv」
そう言うと少し呆れたように頭を抱えて顔洗ってきます、と奥にひっこんでしまった。
清寿が言っていた通り、台所には栄養補給食品が目立つ。
…聞いて羽沙希が良いって言ったらたまにご飯作りに来よう。
清寿も呼ぼうかな。
あ、笑ちゃんと4人で外食もいいなぁ。
羽沙希が二十歳になったら、皆で飲みに行こう。
「あ、そうだ羽沙希!」
「何ですか?」
私服に着替え再び顔を出した彼に包みを投げる。
「?」
「開けて!」
前から、黒いマフラーしかしてこないのが少し気になって、余計なお世話覚悟でマフラーを編んだのだ。
彼には淡いグリーンが似合う、と勝手に思って。
彼の気が、少しでも軽くなることを願って。
「迷惑だったら捨てて良いから…」
プレゼント、と言ったら彼は少しそれをじーっと見て「…ありがとうございます」と言った。
(!!うわぁ・・)
(寒い冬の過ごし方/その顔が少し笑っていたの、見過ごすわけ無かったよ)
DOLLS大好きなんですがこのサイトで一番作品数が少ない+結構期間が長かったので不安でした…
けど見て下さった方が多かったので嬉しかったです!ありがとうございました!