ドン!という銃声の後、男が倒れた。

死刑囚の、土井衛だ。

彼が狙われたのは、頭。

貴美子もも彼より身長が低かったから、彼の撃った弾は見事に土井だけを撃ち抜いた。

大量の血が、にかかった。

 

 

「…嘉衣」

 

そう、あの時土井衛がに当てた銃の引金を引くギリギリ前に、駆け付けた春日が先に撃ったのだ。

 

「ったく、大丈夫?

 

銃口を貴美子に向けたまま、へら、と苦笑してみせる。

向けるだけで、撃たないが。あのが追い詰められるなんて、と内心思いつつ貴美子に向けた殺気は解かない。

は貴美子に首元にナイフをつきつけられている状態で。

このまま撃てば、に当たりかねない。

 

 

 

「…自分の夫が殺されたってのに、随分冷静ね?」

軽く春日に目で答えてから口を開いた。

「…あぁ。いいわよ、どうせ金目当てで結婚したようなモノだし」

「!!」

鼻で笑って答えると、空いていた左手で春日に向かってナイフを投げてきた。

春日はそれを銃で弾く。

 

「おいおい とんだ妊婦だな」

まだそこまで腹は大きくはないが、妊娠していることは見た目で分かる。

その体で を人質に取り、春日に攻撃まで仕掛けたのだ。

そして"妊婦"という単語にが少し肩を震わせたのを、貴美子は見逃さなかった。

 

 

 

「私知ってるのよ?貴方のご両親の事」

「…」

「人形狩りの中では有名よー?あの事件」

「…っ!」

?」

 

明らかに顔色が悪くなったに春日が声をかけるが。

 

 

 

「?あらやだ君もしかして知らないの?の過去」

「…何?」

春日が怪訝そうな顔をすると貴美子は一瞬きょとん、とし、次に笑い出した。

まるで、狂ったかのように。

 

「あはははは!!そっかぁ、知らないんだぁ」

傑作よ!と付け足しての首に当てていたナイフを少しずらした。

プッ、と僅かに切れ、血が一滴流れ出す。

「!!」

 

「ね?そうよね?貴方さえ生まれなければ、貴方のご両親は死ななかったのにねぇ」

「!」

 

薄暗い書斎に、女の笑い声だけが響いた。

 

 

 

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一気にシリアス(?)に…

なんかオリキャラの春日ばっかになってますが(汗)御子柴寄りです…これからなります       (070227)