は、いつも笑ってた。

明るくて、でも腹がたったら怒って、悲しかったら泣いて。

周りからも好かれて、でもやるときはやる。

多分当時養成所にいた中で俺の知る限り一番人間らしくて普通のヤツだったと思う。

ただ、特刑になろうと思った理由だけが、少し普通とはかけはなれていた。

「面接で?もちろん素直に答えたよ。向こうはマニュアル通りの答えなんて、聞き飽きてるもの」

それほど重要な会話では無かったのに、何故かあの時のの言葉と、真っ直ぐ前を見据えた横顔が頭から離れない。

 

 

 

試験に無事合格して、俺は第一に、は第六に所属した。

第六はメンバー同士の息が思ったより合ったらしく、翌年すぐに第五に昇格したけれど。

 

 

「もーせっかく第一になったんだからもう少し喜べばいいのに!」

「…」

「…やっぱ俺の事キライ??」

「…っな!そんな事ねー…よ」

「あはは!大丈夫ですって総隊長!笑ちゃん照れてるだけですよー」

「でもさーにはするのに俺にはあんま笑いかけてくれないんだもん」

「…バーカ」

アイツとも、仲が良かったと思う。

初めのきっかけは、俺がと話してるトコに、アイツが来た事だった気がするけど。

だから俺がアイツを殺した時も沈んでいた俺の側に何も言わずに居てくれた。

自分だって、ショックだったハズなのに。

…アイツの同胞殺しの被害者の中にはの知り合いも居たから。

なのに、全てを包み込むかのように、ただただそこに居てくれた。

恋人の様な甘い関係でもない。

かと言って友人とくくってしまうのには親しく成りすぎていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回の任務は第一と第五、合同でやってもらう」

「合同…ですか?」

口にしたのは式部だったが、その場に居た五人は皆、今回の任務に疑問を抱いた。

第一からしてみれば、第五のチームワークの良さは知ってるし…何故?と思ったし、

第五にしてみればあの第一と合同なんて余程危険な任務なのか、もしそうならなぜ自分達と組むのかと不思議に思った。

第二、第三と組んでも良いハズだ。

 

「第五の担当だった死刑囚と第一に頼もうと思っていた死刑囚が手を組んで新たな犯罪を犯した」

三上がそう答えると、五十嵐が補足する。

「第一の担当は1956号、土井衛、貴美子夫妻、共に26歳。遺産目当ての連続殺人犯だな。

 で、第五は2011号、梨川友廣 33歳、放火殺人犯。そしてコイツらが最近手を組んで犯したのが"第三セクター連続強盗放火殺人"」

「…あの、金持ちの家ばかり狙った事件ですか?」

「ああ、金目のモノを盗み家の主を殺してからご丁寧に火まで点けて逃げる、不可解な事件だ」

が尋ねた質問に五十嵐が答える。

 

「で?今ので合同任務の理由は分かったが、何故俺達なのかって理由は分からねぇな」

「笑太くん!?」

突然何を言い出すのかとばかり御子柴に視線が集まる。

だが御子柴は気にしないとばかりに続けた。

「別に気にくわねぇとか言ってんじゃねぇよ。何んでその夫妻の死刑囚の担当をわざわざ第一に持ってきたのかってコトだ」

 

つまり、合同と言っても、今回の任務のターゲットの内一人は第五が最初から担当とされていたが、

残りの二人は後から、新たな犯罪を犯してから第一の担当になろうとしているのだ。

理由として考えられるのは余程危険な死刑囚か、はたまた別の危険性があるのか。

「まさかまだ他に何か…」

御子柴のその言葉を聞いて第五部隊の隊長、橋永はぽつりと呟いた。

「まだ確証は無いが何か裏があるような気がする。第一を呼んだのはその為だ」

「裏…ねぇ」

「とりあえずお前達には最後に死刑囚の目撃情報があった現場へ行ってもらうぞ」

 

 

 

 

そしてこれが、すべての始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

NEXT・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二話からは過去のお話です。

死刑囚の説明が…自分でも書いてて分からなくなってきました。。(…)

とりあえず、次は現場へ直行です!                         (070111)