「…ま、え、見えない…」
は呟くと、図書室のドアを足で開けた。
パアンと結構大きい音がしたが、幸いあまり人はおらず、怒られることもなかった。
事の始まりは15分前。
授業も終わり、が帰宅の支度をしていると司書の先生に呼ばれる。
何だろうと思えば…「お前ヒマだろ?コレ運んで棚に戻しておいてくんない?」と、山のような図書を指差して言われたのだ。
本当なら断りたいところだがその先生は尊敬している人で。
なんとなく、断りにくくて。
結局は引き受けてしまったのだ。
なんとか本の山を崩さず机の上に置き、溜め息をつく。
「あとは…本しまわなきゃ」
「あれ??」
「え?」
振り替えるとそこにはディーノの姿が。
「言ってくれれば手伝ったのに」
二人して本を元の位置に戻す作業を繰り返す。
ディーノが今日は委員会だから、二人は一緒に帰る約束はしていなくて。
そーいえばディーノって図書委員だったっけ、とは思った。
「うーん。でも大丈夫そうだったし!ありがと」
この学校の図書室は広いので有名で。
結構上の棚にはイスに乗らないと届かない。
しかも大分年代モノの様で木で出来たソレは乗るたびギシギシと音をたてる。
「そーいえば、…きゃ!?」
「!!!」
その時、の乗っていたイスの足が…折れた。
持っていた本が舞う。
バランスを崩したは目を瞑った。
しかし感じたのは軽い衝撃で。
「いでッ」
その声にそっと目を開けるとー
「で、ディーノ!大丈夫!?」
直接床に背をぶつけたのはでなくディーノで。
はそんな彼の上に、抱き締められながら乗っていた。
「、怪我無い?」
「え、うん大丈夫」
「良かった」
何だかそれにどうしようもなくきゅんとしてしまって、はありがと、と言ってそのまま抱きついた。
「うわ、ちょ!!」
彼女にとっては何ともなくても、ディーノにとってこの状態はあまり健全的ではなくて。
真っ赤になって叫ぶ。
それがまた、何だか可愛くて。
は笑って起き上がると、触れるだけのキスをした。
「へなちょこ!」
でも世界一かっこいいあたしの彼氏。大好きだ!
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これも一度やってみたかったんです。
イスが折れたのは老朽化のためですよ 笑 (070210)