初めてなの。こんなにも誰かを好きになったのは

 

水の涙

 

 

 

 

今まで居なかったの。

愛しいって、繋がりたいって思ったヒト。

今まで知らなかったの。名前を、呼んでくれるヒト。

 

「…っ」

 

けどあたしは?なんて呼べばいいかな?だって一応あなたはボスで、さっき会ったばかりだよ?

 

「…っ、こっち向いて

「っあ…ん」

 

 

 

ほら、この人はこんなにもあたしの名前を呼んでくれるのに。

さっき、この人の手をはらわなかったのは、その手を取ったのはあたしなのに、

いざとなったら名前を呼ぶ勇気も出無いなんて。

怖いのかな。

今、名前を呼んでしまったらあたしはきっとこの人無しじゃ生きていけなくなるような気がするの。

…違う、そんなの言い訳なだけだ。あたしに勇気が無いだけ、それだけ。

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

 

 

どうして泣いてるんだ?と聞かれた。

 

「っえ?」

 

泣いてる?あたしが??

 

 

「っ悪ぃ、痛いか?」

 

…どうしてそんな顔するの。どうして…そんな顔にしかさせられないの?

 

「…?…やっぱ止めるか??」

違うよ。違う。

「…っゃ、嫌!」

「…っ!」

「…ディ…ノっ!好き、だか…らっ」

 

 

 

 

恥ずかしい事言ってるのは分かってるよ。

 

けど、言えた。

 

 

 

 

 

「…やっと名前、呼んでくれたな」

 

あ、笑った。笑わせる事が出来た。

 

「俺も愛してるから。だからもう泣くな」

 

 

 

 

 

好きだよ愛してるよ今日会ったばかりだけれどこの気持ちは、

 

 

 

 

 

 

嘘じゃない。

 

 

 

 

 

 

* * * * *

朝、目が覚めると隣にが居なかった。

 

「…?」

 

慌ててベットから飛び起きてドアを開ける。するとベランダとは反対側に位置する窓から外を眺めているを見付けた。

 

「あ、おはようディーノ」

 

昨日のあれからずっと名前で呼んでくれてすげぇ嬉しい、けど。

 

「てかお前いきなり居なくなんなよな」

こっちはマジでビビったんだぞ。

 

 

 

その場にへた…としゃがみ込むと慌てたのかが駆け寄ってきた。

 

「ご、ごめんね?海が綺麗だったから、さ、ってわッ!」

 

思いきり引き寄せて抱き締めた。

 

「…なぁ、やっぱお前キャバッローネに来る気ねぇ?」

 

馬鹿だよな、昨日だって聞いて、断られてるのに。

 

「…気持ちは嬉しいし、昨日は断ったけど…あたしもディーノの側に居たいと思うよ?けど…」

「…フリーになったのには理由が有るんだろ?」

「…うん。だから…全部終ったら、ディーノのトコ行くからそしたら、迎えてくれる?」

「…あたりまえだろ」

 

もう一度を強く抱き締めて、二人で笑った。

 

 

 

 

 

 



 

                                    

                                                                                 
                                    
    青の海
 

 

                                                       
待ってるぜ?何年かかっても、お前だから

 


 

 

 

 

 

 

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久しぶりのupです!…全然エロく無かった…すみません(060624)