暗い暗い裏路地を全身力で走る。後ろからもの凄い勢いで追ってくるのはただ研ぎ澄まされた鋭い殺気。嗚呼、こんな事ならこんな殺し引き受けなければ良かったわ。情報と違うじゃないの。…まぁ、標的はそんなに強くなくて倒せたけれどその部下(かしら?)が強すぎなのよ。上司(?)が死んだってのに冷静沈着で、(きっと彼は狂ってる!)でも恐ろしい程強かった。あっと言う間に(別に油断してたわけじゃないけど)右膝がやられて歩くのだってやっとなのに走らなければならなくなったのだ。(逃げなきゃ殺されるもの)どんなに道を変えたって膝から流れ落ちる血のせいで相手にあたしの居場所を伝えてしまう。止血するのに足を止めた瞬間、あたしの命は終わるだろう。かと言って流石に片足だけで屋根の上に飛び移る体力は、もはやあたしには無かった。
次の路地を曲がろうとしたその時前方からも足音が近付いて来ている事に気が付く。(やば…挟まれた?!)さっき敵は一人しかいなかったけど連絡を受けて応援に来たのかもしれない。それでもその道しかあたしには逃げ道が無くて、しかたない、と右手のナイフを強く握り締め、路地を曲がった。
瞬間「伏せろ!」と言う男の声とヒュンとかバキィとか言う効果音が頭の上をカスめた。
仕事も一段落して予約していたホテルへと向かう。無駄に豪華な玄関をくぐると先に着いていた部下達が迎えてくれた。「ボス!お疲れ様です!」「ぉーサンキューな!」「今回はヘマしなかったか?ボス?」「なっ!おまえらなぁ!」聞いているととてもボスと部下の会話には思えないけど、皆信頼できて頼りになる自慢の部下だ。そしていつも俺らは笑い声が絶えない気がする (良い意味でな!) 「ボス!とりあえず部屋で休んだらどうだ?」そして皆優しいんだよな。
部屋へ入るとやっぱり無駄に豪華だった。俺的にはもうちょいシンプルでもいいんだけど。けど眺めはよさそうだったから((だって15階だしな!)ベランダに出てみた。綺麗な夜景だけど一人で見るのは少し寂しい気がする。(らしくねぇけど)そんな事を考えているとふと何かが視界をかすめた気がした。何だろうと思って目を凝らしたら一人の女が必死で何かから走って逃げているところみたいでほっとけなくて急いで鞭をつかんで今来たばかりの道を戻って外へと飛び出した。途中で「ボス!?」という声が聞こえたけど「ちょっと出てくる!」とだけ言って走り続けた。(ロマーリオが付いてきてくれたみたいだった)
この辺だと思った道を曲がるとちょうど女もこっちへ曲がって来て「伏せろ!」俺は迷わずそう言って女を追っていた男にためらいなく鞭を叩き付けた。 その時必死で、でも何処か軽やかに(綺麗に?美しく??なんて表したらいいだろう)走っていた彼女の膝から流れ落ちる鮮やかな血が目に焼き付いたような気がした。
俺は初めて血が綺麗だと思った(のかもしれない)
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ディーノさんとの出会い編。…名前変換なくてごめんなさい。。(060429)
修正(060508)