「…?気付いたか!?」
あれ、あたしどうしたんだっけ??だって…さっきまでバスタブにつかってシャワー浴びてたような…。でもそっから意識無いんだよね。え?でも今あたしは確かにベットで寝ていて、ディーノが心配そうに顔を覗きこんでいる。あ、ディーノまだお風呂入ってないんだ。だって頭から水垂れてるよ?…あれ?えっと待って。何かスースーする。…まさか。
「嘘っ!!」
「うわ起き上がるな!!」
「…え?」
ががばぁっと起き上がったのとディーノが顔を片手で覆いながら叫んだのはほぼ同時で。
純LOVE???
「(何であたし裸!?)」
パニくるにディーノが慌ててバスローブをかけた。
「悪ィ…けどバスタブの中でのぼせてたんだ」
「…え、あ…」
「だから…その…」
「…運んでくれたの?」
頭の中をどうにか整理してやっとの思いでそう聞くと、ディーノが顔を真っ赤にしたまま頷いた。…つまり、あたしは、付き合ってもいない男の人、それも好きな人にハダカを見られた事になる。…しかも絶対片想いの。…うゎぁぁぁ最悪だ最低最悪だ。もう顔見れないし学校で会っても気まずいしっていうかこれから朝まで厳しいし!!
「…」
「ふぉぁい!!」
「(…ふぉぁい?)…俺、シャワー浴びてきても平気?」
「う、うん大丈夫だよごめんねありがと!」
半分パニックになりつつもそう答えると、じゃ、行ってくる、と言ってディーノはきびすを返した。
…シャワーの音がやけに耳に響いた。…どーしよう。
「あれ、」
とりあえず落ち着いて周りを見渡してみると大変な事に気が付く。…そう、…あたしがのぼせたせいで、それでそのままディーノが運んでくれたので、ベットと枕がびしょ濡れなんだ。…え?ちょっとじゃぁ何処で寝ろっての?何のためにこんな死にたくなるほど恥ずかしい思いしてラブホ入ったの?え、ていうかこれ明らかにあたしのせいだよね…。本当さっきまで裸見られたー!?ってパニックになっていたあたしがここまで冷静になれたのは自分でも不思議なんだけど。でもきっと、ディーノだって気まずかったと思うんだ。裸といってもちゃんとバスタオル巻いてくれたみたいだし、そもそもあたしがのぼせたのがいけないんだから。ディーノは、そんなあたしを助けてくれたんだから。このままじゃディーノに申し訳なさすぎる。何とかしなきゃ。…あ、もしかしたらアレくらいならココにも有るかもしれない。とにかく早くしよう、と立ち上がりベッドの横に置いてあったバスローブをはおってあたしは洗面所へと走った。
***
っていうか…どうしよう。見ちまった。の…裸。シャワー出しっぱなしだったから多少は曇ってたけど、霞んでたけど!!だからなるべく見ないようにしてバスタオルでくるんで運んだんだけど、…やっぱ駄目だ。思いだしちまう。俺だって思春期の男だし好きな女なら尚更。だからが起きた時も本当ならもっと側に居るべきだったんだろうけど、耐えきれなくて逃げた。…最悪だけど、許して。…考えるの止めろ、と思えば思うほど顔が熱くなるのが分かるだけだ。頭から少し冷ためのお湯をかぶってみる、けど。てかこれガラス貼りって結構恥ずかしいな。ベットだし平気だよなってあれ?何か今足音が浴室の前を通りすぎていったような…あれ??でもこれ振り向いて目合ったら気まず…。しばらくしてゴオオ?とドライヤーみたいな音が聞こえてきたからあぁ、髪でも乾かしてんのかと納得した。何かって何事も慣れるの早いよな。順応性っいうのか?落ち着いてきたのかな。てか俺も早く出なきゃな。…気まずいけど、俺までのぼせたらシャレになんねーし。あ、俺も少し落ち着いてきた?…あーでも出たくねぇな、コレ。がのぼせたのも分かる気がする。
「…え、?」
「あ、おかえりディーノ」
覚悟を決めてバスローブを着て出ると、やっぱりさっきの音はドライヤーで、でもが乾かしていたのは彼女の髪じゃなくてベットのシーツとか掛け布団だった。
「…それ…、」
「あ、いやえっとさ、布団濡れちゃったのあたしのせいだから…
寝るとこなくなっちゃったら困るし、ってかこれ以上迷惑かけたくないっていうか…」
ごめんね、って謝りながら必死に説明するを見て、俺は罪悪感で一杯になった。だってアレはさ、俺も気まずかったけどの方がパニクッて当たり前なんだよ。けどそれでもはこれからの事を、俺のことを思って自分の事そっちのけで。髪からまだ、滴垂れてるのに。なのに俺は自分の事で精一杯で、やっぱり少しだけど、やましい事も考えたし、さ。ごめん、は俺の台詞だよ。
「あ、ベッドはディーノ使っていいから!あたし床とか適当でいいし!!」
「駄目だって!俺が…」
とっさの発言にとっさの返事。
けど、きっと二人とも、分かってるんだ。どちらかが床で寝る、なんて無理だって。
沈黙に耐えられなかったから、無理に会話しようとして、そしたら苦しい言葉が出てきてしまったんだ。
譲り合っているようで、言えないだけなんだ。
「…ディーノ?」
「…」
の手からドライヤーを取って、置く。隣に腰かければ、たしかにそこは乾いていた。
肩にかけていたタオルをの頭に被せるとわしゃわしゃとふく。
「っちょ、わ、ディ、ノ」
「…あのさ、」
まさかそうされるとは思っていなかったようで、は慌てたように言う。そりゃそうだよな、だって俺が一番びっくりしてる。さっきまでお互いパニクッてんの嫌ってほど分かってたし、だからそんな俺らが同じベッドに腰かけて平気でいられるなんて。いや、平気では無いか。だって、心臓が、うるさい。
「二人で、寝ようぜ」
「…っ、え、」
顔をあげたを覗きこむと、うっすら頬が赤くて。…俺も、赤いと思うけど。
「あ、いや変な意味じゃなくてさ、えっと…」
まだ乾いていない髪から水滴が垂れて、それが余計を色っぽく見せて。
だから顔をそらしたら、また"とっさの言葉"が出てきちまった。…墓穴掘ってるよ、俺。
「…あたしは、変な意味でも、いいよ」
「…え、」
一瞬何を言われたか分からなくて髪をふく手が止まってしまった。の顔は真っ赤。そして多分、俺も。
「あ、えっとノリとかじゃないから!
…あたし、前からさ、好きだったんだよディーノのこと」
なぁ、考えられないだろ?さっきまであんなだった俺らがさ。でも、一日一緒に居るうちに、分かってきたんだよ。
あ、今お互い緊張してるとか、気まずいとか、落ち着いてるとか、心臓がうるさいとか、そしてお互い、好きあってるとか、さ。
だから。だから、顔は赤いし恥ずかしいし手震えるし脳が爆発しそうだったけど、勇気出して、を、この腕で、抱きしめられたんだと思う。
「!…ディ、」
「俺も」
「!」
「…俺も、前からが好きだった」
こういうの日本語では以心伝心ってーの?なんとなく、雰囲気で分かった。お前もそうだろ?。
の腕が恐る恐る俺の背中に回されて、俺は更に抱きしめる腕に力を入れた。
肌から、呼吸から、心音と熱が伝わる。
ふとお互い力を緩めて、少し身体を離して、見つめあって、きすをした。
くちびるから、熱が伝わった。
「…ディーノも髪乾かさないと」
「…そーだな」
ドライヤー片手にが笑う。俺も笑い返して大人しく身をまかせた。
明日も学校。雰囲気から分かる。
お互いの気持ちは確認出来たけど、のんびり行けばいいんじゃないかって。思ってる。だから。
「よし!乾いたよ」
「サンキュー」
「…ディーノ」
「ん?」
だから。きっと。
「明日も早いし、寝ますか」
「そうだな」
だから今はただ抱き合って寝っころがって。
目を閉じても全てが伝わるから。
「…おやすみ」
「…おやすみ、」
そして出来たら同じ夢が見られれば
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…ネタ自体は秋くらいから書き始めてたんですが、オチが決まらすにズルズルと…汗
そしてオチてない。死
初めは裏行き予定だったんですが、こんなことになってしまいました。
無駄に長くてすみません。読んでくださった方ありがとうございます!
また学生時代の話書きたいな (070327)