彼の主張はこうです。

好きだから側にいてほしい。

心配だから目の届くところに置きたい。

守りたい。

だから、キャバッローネに来てほしい。

部下とボスだからって関係ない。

 

 

 

 

彼女の主張はこうです。

好きだから負担になりたくない。

守られたい訳じゃない。

対等でありたい。

それは意地じゃなくてプライドでもなくて。

だから、キャバッローネには行かない。

 

 

 

 

愛し合っているからこそ。

彼は彼女の本音に気付けない。

彼女は彼の思いを受け入れられない。

 

 

 

 

 

「…なぁ、そろそろ、来てくれよ」

「…嫌よ。このままだって、いいでしょう?」

「よくない」

「何で」

 

 

 

お互い目を見て話してるのに、すれちがい。

 

 

「…だって」

「ん?」

「部下はボスを命かけて守るのよ」

 

 

命なんて惜しくない。

けど、自惚れではなくて、きっとあたしがディーノの為に死んだりしたら彼はとても悲しむのだ。

あたし達は、どちらが欠けても駄目なのだ。

生きていけないから。

またボスは部下を守るものだ。

特別扱いなんて嫌。

あたしのせいでディーノが死んだらあたしは発狂する自信がある。

だからこの距離を壊してはいけない。

寄りかかって支えていたものが共倒れだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あたし、ディーノの為に死ねないから」

「…、」

「ディーノの為に、生きることしか出来ないから」

 

 

 

 

だからこれ以上足を踏み入れてはいけないのだ。

あなたの為なら死ねる、なんて言ってかっこよく愛する人をかばって銃弾を受けて死ぬ、なんて悲劇のヒロインを演じたい訳じゃないんだ。

 

 

 

「…そっか、そうだな」

俺も、の為に生きることしか出来ないな、そう言って笑う。

キスをする。

抱き締めあう。

安心する。 

 

 

 

ねぇ、でも本当に?

ボスと部下の関係じゃなくても、二人一緒の時ディーノに銃口が向けられたらあたしはその銃弾が放たれる前に殺せる?

怪我せずに一瞬で殺せる?

ディーノと銃の間に、何も考えずに飛込んだりしない?

ねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパイラルラブシンキング

 

 

 

 

END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何か、二人の絆?とか書く予定だったんですが痛い愛みたいになってしまった…

タイトルもどうなのソレ・・・(汗)                (070131)