男は皆スーツを着、女はドレスに身を包んで。
片手にはワイングラス、にこやかに会話を楽しむ夜。
…つまり今日はパーティーで。
いつも銃を持ち殺気をみなぎらせるマフィアも、今日は開放的な気分で笑っている。何でもお偉いさんトコのボスが換わったらしく(うろ覚えなのはホントに今はどうでも良かったから)それなりに力の有るキャバッローネのボスである俺も、呼ばれた訳だ。別にこういう事に招待される事はそんなに嫌じゃない俺が何故機嫌が悪いかと言うと、人で出来た壁の向こう−大きな窓の下に−アイツが居るから。
「ぁ!久しぶりじゃないか、」
「あらビリーじゃない、元気してた?」
――そう、本来これはボスとか幹部とかファミリーでも上位に位置する者の集まりだが、今回の主役の先代に世話になった為にフリーであるも来ていたんだ。ちなみにとは結構長い間ちゃんと会えていない。お互い仕事仕事で連絡もろくに取れなかったのだ。そんな彼女はいつもと違う淡いピンクのドレスを着ていて、(よい意味で)目立つ。
(どんなカラフルなこの空間も、お前が居るだけで他のものは全て白黒に見えてしまう程)
そして俺は堅苦しいおっさん達に囲まれてまだに声をかけてもいないのに、他の男(中には女も居たけど)達は引き寄せられる様にして、次々との側に行くんだ。(ビリーお前この間婚約したばっかだろ!)
「いゃぁディーノ君は若いのに実に有能だね」
横に居たお偉いさんの声ではっと我に返った。
「いえ、そんな事は…」
「はっはっはっ。控え目な処が君の良い処だな。うちの新ボスにも、色々教えてやってくれ」
少々面倒な事を言われ(どうせ口先だけの言葉だろうけど)苦笑しながらはぁ、と頷く。
「ところでアイツはどこに行ったんだ。まったく挨拶もせんで…」
アイツとは今回の主役のボスの事だ。
「いえ構いませんよ。」
俺がそう言うと回りをきょろきょろしていた先代は「すまんね本当に…っと居た居た、おい!」と言って新ボスを呼んだ。つられて俺も振り返…った瞬間、驚いた。(なっ!テメェ何処に居るかと思ったら…何平然との隣に居るんだ!)
先程の隣に居たビリーはもう居ず、その代わりに今まさに紹介される為に呼ばれた男が(…つまり新ボスが!!)居て、二人で仲良くこっちに向かって歩いてきた。
「おお!君ではないか!元気にしてるかね?」
「ご無沙汰しております。最近は順調で」
ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。と普段使いもしない敬語で言ってはお辞儀した。
「まぁそう固くなるな。君の噂は良く聞くよ。実に素晴らしい活躍だな」
「お誉めに預かり光栄です」
「どうだね?そろそろウチに来る気は」
君になら安心してコイツを任せられるよ、と付け足して新ボスの背中を叩く。おいおい紹介するために呼んどいて俺のコトは無視か?…それはまぁ良いとして、…何ちゃっかりまで誘ってるんだ!…っていうか!何だよその間は!お前やるべき事が有るからフリーで居るって前に俺に…
「…せっかくですが、私には生涯守ると誓った人が居ますので」
その言葉にはっと顔を上げると今日初めてと目が合った。
「そうか…まぁ仕方ないな。頑張りたまえよ」
先代がそう言って、近付いてきた部下の耳打ちに気を取られている時、まだぼーっとを見ていた俺に向かって片目をつむってみせた。
「…せっかくですが私には生涯守ると誓った人が居ますので」
さっきが言った言葉が響いた。
「…お「それでは各ファミリーのボスの皆さん、お集まり下さい!」
おい、と声をかけようとした瞬間、会場内にアナウンスが流れた。
…は?確にボスだけの集まりをするとは聞いていたが、予定より15分も早い。
「では、私はこれで」
「おお、すまんな、気を付けて帰ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
どんどん俺抜きで会話が進んでいく。もう今しかない!と伸ばした手はに届く前にあっけなく新ボスに捕まれた。
「ささ、行きましょう??俺ずっと貴方に憧れてたんです!色々お話聞かせてください!」
「お、おう」
近くで見ると以外と若くて、キラキラした瞳で見上げてくる姿が何処となくツナに似ていて断れそうもない。はぁ、とバレない様に溜め息をつき、ふと会場のドアの方を見るとがニコ、と笑って、自分の左胸を差した。まさか、と思いスーツの左ポケットを探るといつの間に忍ばせたのか折り畳んだ紙が一枚出てきて。中を開くとの字で、「油断大敵vv(笑)あたしが敵だったらどーするの プリンチペアルベルゴ904号室で待ってるから」と書かれていて慌てて振り返ったけどもうそこにの姿は無かった。
(しかも904って…俺の隣かよ)
つまりここへ来る前からは俺の側に居たことになる。いつから?と考えたがまったく分からなかった。
「あいかわらず、流石だな」
「ふふ、さっきのあのディーノの顔!捨てられて泣いてる子犬みたいだったわよ?ロマーリオ」
「…あいかわらず、ボスらしくないボスだぜ。嬢と会えないーとか騒ぎっぱなしだったからなぁ。家では」
「けど、そーゆーボスが一人くらい居てもいいと思うわ」
「違いねぇ。でも良いのか?ボスの帰り何時になるか分からねーぞ?」
「大丈夫、ちゃーんと待ってるから」
「…ハハ、アンタやっぱ良い女だぜ」
この集会も残すところあと少し。もうすぐと話せる、と思った…のだが。
「ディーノさん!今日はウチに止まってって下さい!まだまだ聞きたいことがあるんです!!」
「え?あぁ、けど悪ぃな、人待たせてるから」
「それってさんですか?」
「え?」
何で分かる?いや、知っている?…もしかして…もしかしなくても、俺が今日の事連絡しなかったの怒って…?
「でも、さんが、頼めばディーノさん聞いてくれるって…」
…怒らせた。か。
謝ろう。まだまだ時間はかかりそうだけど、帰ったらすぐに抱き締めて謝って、優しいはきっといつもみたいに笑って許してくれるから、そしたら久しぶりに触れるの頬に、額に、唇に、たくさんたくさんキスをしよう。
タ
イ
ム
リ
ミ
ッ
ト
は
夜
明
け
ま
で
それ以上長引くと、俺がどうにかなっちまう
END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
よく分からない物になってしまいました…(え)書き始めたのは多分8月中旬です。途中までで終わってたので最後まで。
時間が空きすぎて自分でも分からなくなってしまいましたが、頑張ったつもりなのでUPしちゃいました。…文才欲しいです…
(061003)