時刻は夜の11時半。
今日は色々あったから体は疲れているのだけれど、
何故か頭はきれいさっぱり覚めていて。
どーしよう、と思いつつも脱衣所でパジャマに着替えた。
「…あれ?」
「あ、おかえりなさい殿」
洗面所のドアを開けてリビングを覗くと、
私が帰ってきた時にはもう部屋で寝ていたはずのバジル君がソファに座っている。
出来るだけ音を立てないよう気を付けたつもりだったんだけど、
やっぱり水の音は不思議と響くモノだから不安になった。
「ごめん、起こしちゃった?」
「いいえ。拙者が眠れなくて勝手に起きただけです」
ですから殿のせいでは無いですよ、と付け足して。
バジル君も、眠れないんだ。
そう思うと少し安心というか嬉しいというか…
そういう風に思ってしまう私は結構キてると思う。
私だけじゃないんだ、とか。
おそろいだ、とか。
眠れなくて困るのは、私達なのに。
「…バジルくん」
「はい?」
「久しぶりに…やって?」
くるくると髪に指を巻き付けながらお願いしてみたら、
「いいですよ」って返事と共に笑顔が返って来た。
「ふぁ〜」
「気持ちいいですか?殿」
「うん〜」
ゴォォォと音をたててドライヤーの暖かい風が当たる。
背中をバジルくんに預けて目を瞑る。
バジルくんに髪触られたり乾かしてもらうの、
気持ちいいから好きなんだ、けど最近忙しくて。
だから本当に、久しぶり。
乾かしながら世間話をしたりするんだけど、
ドライヤーの音が結構大きいから声も大きくなる。
あ、明日お隣さんに怒られないかな。
…平気かな。
「今日はどうしたんですかー?」
「ちょっと仕事が残っちゃったんですー」
「そうだったんですか、お疲れ様です」
はい、終わりです、と言ってドライヤーのスイッチを切った。
「ありがとう。疲れてるのにごめんね」
「大丈夫ですよ。それに拙者も好きですから」
「え?」
「殿の、髪乾かすの」
バジルくんはドライヤーを床に置くと、
左手は私のお腹らへんに置いて、右手で髪を触る。
あ、気持ちい。
特に、おでこから前髪を手でとかされるのが、好き。
安心して、…眠く、なりそ、う…。
「…殿?」
あ、バジルくん、が、呼ん、で、、る?
「…寝てしまいましたか」
バジルはクスクスと笑うとを起こさないように寝室へと運ぶ。
「…お疲れ様です、殿」
言って、のおでこにそっとキスを落とすと、自分も横になり目を瞑った。
おやすみのキスは君の知らぬ間に
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ありきたりですが一度やってみたかったネタでした。髪乾かしてもらうヤツです。そしていつもと少し雰囲気変えてみました。 (070117)