それはある日の事でした。

 

「…ちょっと、いい加減離れてよ」

「…やだ」

 

現在の状況はというと、ソファに座った千種にがべったりくっついている状態です。

ちなみに骸はまだ帰ってきてません。

犬とランチアは呆れたように二人ーというかを見ています。

 

では、何故こんなことになったのか。

 

「だって骸さん絶対浮気してるもん!だから私も千種に浮気するの!!」

 

…どうやら原因は彼、六道骸に有るようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では何故彼女、は自分の彼氏である骸に対してそのような疑いを持ったのか。

それを「絶対」だと言いきり千種の腕にしがみついて離れないですが、千種本人を含めそんなを見守っている三人は「絶対そんなワケない、つーかありえない」と思って、否、確信しているのです。

骸のに対する溺愛ぶりは見ていて時に暑苦しく、時にその変態ぶりにどん引きさえも出来るものだったのですから。

 

「何では骸さんが浮気してるって思うびょん?」

「だって…だってさ!最近、一緒に居すぎなんだもん!」

「…?」

「そもそも相手は誰なんだ?」

「…髑髏」

……

 

質問をした犬とランチア、相変わらず離してもらえないままの千種が、三人そろってを見ました。

絶対それ、ありえないだろと顔が言っています。

 

「…、それありえないと思う」

「何で?だって今も二人で一緒に出掛けてるじゃない!」

「それはそうだが…」

 

骸が髑髏相手に浮気、というのもありえないが確かに最近二人はそろって出掛けていて。

そしてそんな時いつもは留守番で、犬や千種、ランチアと遊んでいたのですが今日になって今まで溜っていたモノが爆発してしまったらしいのです。

三人も下手に何も言えず、そんなこんなでもう小一時間は経っていて。

 

「(あぁもうめんどい…っていうか、胸当たってんだけど、)…ほらそろそろ骸様が帰ってくるよ」

「いいもんあんな人、」

「只今戻りましたよ僕の愛しの!!」

 

いきなり扉がバターン!と開いて骸が両の手を広げて飛込んできました…が。

 

「はっ!?何してるんですか千種僕のに!!」

「(…めんどい)骸様、」

「…(つーん)」

「ちょ、!?何そっぽ向いてるんですか!!っていうか離れなさい早く!!」

「やだ!!」

 

骸は二人に駆け寄るとぐぎぎぎ、という効果音が似合う程千種の腕をひっぱりますがも負けじと抱きつきます。

 

「ちょっとそれ胸当たってるじゃないですか!!千種の変態!」

「そーゆーこと考える骸さんが変態ですー!!」

「(…柿ピが死にそうだびょん)」

 

二人の口喧嘩はなかなか止まりません。

それどころか段々エスカレートしていきます。

しかし、今この場にそれを止められる者もおらず…。

送れるのは、いい大人が何やってんだ、という視線だけで。

 

 

 

あ、説明し忘れましたが、ここはボンゴレのアジトです。

霧の守護者用の部屋です。

…つまり、彼等はもういい大人なのです…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もういいです!骸さんなんて大っ嫌い!!」

「なっ!(ガーン!!)」

 

のその一言で骸の腕から力が抜け(ついでに魂も抜けたように見え、)千種は解放され、はだっーっと自室へと走っていき、ランチアは千種を受け止め、犬は髑髏の方を向きました。

 

「…お前最近骸さんと何処行ってるびょん?」

「…骸様と、お買い物」

「…は?」

の好きなもの、教えてほしいって」

「…」

 

 

 

 

「…骸、おい骸」

「…何ですか」

いつまでたっても復活しない骸にランチアが声をかけました。

「…はな、お前が髑髏と浮気してるんじゃないかって悩んでたんだぞ」

「!!なっ…」

「毎回おいていかれれば不安にもなるだろう いつも何しに何処へ行ってるんだ?」

 

 

 

 

 

 

「…もうすぐ記念日なんですよ 付き合って5年目の」

「…」

「でもって何が欲しいとか絶対言わないじゃないですか だから同じ女の子なら髑髏に聞けば何か分かるかと思いまして…」

「…そうか」

「…少し、無神経でしたね 謝ってきます」

 

 

残された四人は顔を見合わせるとほっ、と溜め息をもらしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…という訳なんです すみませんでした、

「…うん 私もごめんなさい大嫌いなんて言って」

「!…ー!!」

「きゃ!?ちょっと苦しいですって骸さん!!」

 

骸はこれでもか、と言うほど強くを抱き締めました。

嬉しかったのです。

本当は怒られるべきなのに、は自分を許してくれて、更にこれもまた言われて当然だった事を謝りまでしてくれたの優しさが、本当に嬉しかったのです。

そしてそれに比例するかのように余計、自分の非が情けなく、申し訳なく思えてきたのです。

 

 

 

 

「…ねぇ骸さん」

「…はい」

「…私なにもいらないから、ずっと側にいて下さい」

「!…はい」

 

骸はようやく力を緩めると、こつん、とのおでこに自分のそれをくっつけました。

本当にすみません。

そう目で再度謝って、いいよ、と動いたの口に軽い口付けを落としました。

 

 

 

「あと骸さん、私もこれから欲しいものがあったら素直に言いますね」

 

そうしてたら今回こんなことにならなかった訳ですし、とそう呟いてにこりと笑います。

 

「…では、欲しいものは何ですか?」

 

骸もそれに笑い返して顔を離しての頭を撫でました。

 

「…知りたい、ですか?」

「…ええ」

「……」

?」

「…愛、」

「…は?」

「…骸さんからの、愛が欲しいです」

 

顔を真っ赤にして下を向いてしまったには見えなかったでしょう。

その時どれだけ骸が嬉しそうな顔をしていたか。

 

「…そんなものでよければ、いくらでもあげますよ」

 

こっち向いて下さい、との顔をあげさせて、本日二度目のキスを。

 

 

 

 

 

 

 

innocente amore 

ただ君だけを想う、愛

 

 

 


END・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

香織様、大変お待たせしました!

時間かかったわりにあまり上手く書けなくてすみません。

浮気、というテーマだったのでシリアスとギャグ風で迷ったのですが(え)

シリアスだとドロドロになりそうだったので…

いやギャグにもなってないんですが。汗 

ではリクありがとうございました!

ローズドロップス/秋山美雨羅            (070513)